女子高生も「骨と皮だけ」にする北朝鮮警察の残虐行為
2年ほど前、北朝鮮を騒然とさせた落書き事件の容疑者として逮捕され、その後に「濡れ衣だった」として釈放されていた男性が、勾留中の拷問の後遺症で死亡していたことが最近になってわかった。
両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、恵山(ヘサン)に住む40代男性は一昨年9月、人民班(町内会)の警備哨所(検問所)に、国を批判する内容の落書きをした容疑で逮捕された。
北朝鮮では当時、首都・平壌でマンションの外壁に「金正恩の犬野郎、人民がお前のせいで餓死している」と書かれているのが前年12月に見つかったのに続き、全国各地で同種の落書きが相次いで発見され大騒ぎになっていた。
男性は当初から無実を主張し、昨年8月に釈放された。その間、ありとあらゆる拷問を加えられたという。政治犯を取り締まる保衛部(秘密警察)の拷問は凄惨をきわめる。3年ほど前には当局に拘束された女子高生らが、ほとんど「骨と皮だけ」にされた状態で公開裁判に引き出され、見守る人々を驚愕させた。
BBCは19日、北朝鮮で10代の少年2人が、韓国のドラマを見たとして12年の重労働の刑を公開の場で言い渡される映像を報じたが、北朝鮮当局による相手を選ばない抑圧を裏付けた形だ。
件の男性が凄惨な拷問に耐えて無実の主張を曲げなかったということは、落書きの容疑は本当に濡れ衣だったのだろう。しかし、デイリーNKの内部情報筋によると、釈放された男性の人相は完全に変わり体は傷だらけ、骨と皮だけの状態で、見る人を恐れさせるほどの有様だった。なんとか帰宅できたものの、まともな治療を受けられず、2カ月にわたって苦しんだ末に、昨年10月に息を引き取ったという。
家族や親戚、同僚は当局のやり方に激怒したが、その怒りのぶつけ先はない。信訴という、公務員による違法行為を訴えるシステムはあるものの、途中で妨害されたりもみ消されたり、あるいは加害者から逆襲されたりしないように、強力なコネを使うなどの「工作」が必要だ。
ましてや相手が保衛部となれば、相当の根回しをしなければ、訴えることなど考えられないのだ。
懸念されるのは、北朝鮮で今後、こうした強圧的な取り締まりがいっそう増えそうだということだ。金正恩総書記は韓国に対し、「同族ではなく主敵だ」と繰り返し強調し、対決姿勢を鮮明にしている。そうした状況において北朝鮮当局は、体制に対する不満分子への警戒を強める。社会への統制を厳格化するため、公開裁判や公開処刑が乱発される恐れもある。
Copyright(C)DailyNKJapan 2014
「北朝鮮」をもっと詳しく
「北朝鮮」のニュース
-
金正恩氏が最側近「人民軍元帥」の2周忌で墓に献花5月20日16時24分
-
「核抑止態勢の向上」を示唆…北朝鮮、米の臨界前実験で5月20日16時19分
-
「米国とは敵対関係、協力などない」北朝鮮外務省5月20日16時9分
-
<サッカーU17女子>北朝鮮が日本を下し優勝=中国ネット「閉鎖的な国なのに」「選手の年齢が…」5月20日11時0分
-
北朝鮮、核抑止態勢向上へ 米の臨界前核実験受け=KCNA5月20日7時21分
-
「中国の男らは一列に並んだ私達を”買い物”した」北朝鮮女性が苦しむ多重地獄5月20日4時2分
-
U−17日本女子代表、準優勝でアジア杯を終える…U−17北朝鮮女子代表との決勝は0−1の敗戦5月19日22時2分
-
北朝鮮、低糖質ビール販売 中国でも、外貨獲得手段5月19日15時18分
-
「離婚は悪という認識」が北朝鮮の少子化を促進する5月19日12時21分
-
女子中学校も汚染…北朝鮮「薬物と性びん乱」荒れる若者たち5月18日13時3分