台湾は原発を使うべきか、社会的合意形成への道のりは長い―台湾メディア
台湾メディアの中央広播電台(Rti)はこのほど、「台湾は原発を使うべきか」とする記事を掲載した。写真は台北市内。
読売新聞によると、台湾は1970年代に原発の商業運転を始めたが、2011年の東京電力福島第一原発事故で「脱原発」の機運が高まり、現在、唯一稼働している南部の第三原発も、1号機は今年7月に、2号機は来年5月に閉鎖される方向だ。脱原発を進めてきた与党・民進党政権を原発の利用を掲げる野党が批判するなど、原子力政策は1月の総統選で争点の一つとなった。
台湾メディアの中央広播電台(Rti)はこのほど、「台湾は原発を使うべきか」とする記事で、「2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにするネットゼロは世界各国の共通目標であり、ネットゼロ移行を達成するため、多くの国が原発を再稼働させたり、原子力エネルギーの割合を高めたりしている。台湾では長年にわたり原子力発電の使用をめぐり賛否両論が交わされてきた」と伝えた。
記事はその議論について、台北大学自然資源・環境管理研究所の専門家などは、ネットゼロ移行という優先目標に直面して、エネルギーの選択は移行もしくは妥協のどちらかだとの認識を示しているのに対し、環境保護団体の緑色公民行動連盟などは、台湾では再生可能エネルギーの割合が原子力を上回っているため、原子力はエネルギー強靭(きょうじん)化に資さないとの認識を示しているなどと伝えた。
記事によると、台湾は25年までの「非核家園(原発のない郷土)」の実現と50年までのネットゼロの実現を目指している。原発推進派と脱原発派の議論が復活する中、最大野党・国民党議員らは、ネットゼロと原子力再稼働という国際的な流れに歩調を合わせるため、原発の運転期間を延長するための法改正を推進すると表明している。
記事は「台湾は原発を使うべきか。原発がない中で50年までのネットゼロ目標を達成できるのか。異常気象やさまざまな挑戦に対処するのに十分な強靭性を備えられるのか。原発をめぐる論争は改選後初の立法院(国会に相当)でも争点になることが予想され、社会的合意形成への道のりは長い」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)
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