北の貿易会社、むちゃな営業活動
かつては労働者の海外派遣で儲けていた北朝鮮の貿易会社が、国際社会の経済制裁により苦境に立たされている。窮余の策として中国の業者を相手になりふり構わぬ営業活動を行っているが、その懸命な努力は報われそうにもない。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
中国朝鮮族の業者によると、最近知り合いの北朝鮮貿易関係者から「少なくてもいいので、自国の労働者を雇ってくれないか」と頻繁に電話がかかってくるという。また、丹東の業者は「今年初めから『北朝鮮の労働者に仕事を紹介してほしい』との国際電話を何度も受けた」と語る。さらに、北朝鮮国内の工場にアクセサリーの加工を外注している別の業者も同じような勧誘電話を何回も受けている。
そんな電話を受ける彼らは、半ば呆れ顔だ。
「中国政府の指示で今残っている北朝鮮労働者もすべて撤収させなければならないことをわかっているのに、こんなことを頼んでくるなんて」(丹東の業者)
国連安全保障理事会が昨年9月に採択した制裁決議2375号は、北朝鮮労働者の新規雇用を禁じ、現在雇用している労働者は契約が終われば帰国させることを義務付けている。また、中国当局も北朝鮮労働者の新規雇用やビザ更新を認めていないため、多くの北朝鮮労働者が帰国を余儀なくされた。
そんなことぐらい北朝鮮側は百も承知だが、それでも営業の電話をかけてくることについて前述のアクセサリー業者は、外貨事情がよほど逼迫している証拠だと見ている。
「中国当局の目の届かない奥地でひそかに仕事をさせられる場所を探してほしいということだ。言い換えれば北朝鮮労働者の違法な小規模な仕事場を斡旋してほしいという意味」
「かつては、少なくとも50人以上を雇用しなければ北朝鮮に相手にされなかったが、今では5〜6人でもありがたがられる有様」(アクセサリー業者)
広大な中国には、当局の目が行き届かないところがいくらでもある。しかし、中朝国境に近い地域では、当局の厳しい監視が行われており、ひそかに北朝鮮労働者を雇うことは難しくなっている。
中国に滞在中の平壌在住の北朝鮮華僑は、労働者が稼ぎ出していた外貨が途絶え、国の財政は大ダメージを受けているが、当局にとっては、帰国した労働者を国営の工場に再配置することも大きな負担だと指摘している。それら工場の多くはまともに稼働していないため、再配置は失業を意味するからだ。
多くの韓国企業が進出し、最高で5万5000人(韓国統一省の統計)を雇用していた開城工業団地は2016年2月に閉鎖されたが、そこで働いていた人を海外に送り出すことで、失業問題を解決した。
労働者の海外派遣は、外貨稼ぎであると同時に失業者対策でもあったわけだ。しかし、もはやその方法は使えなくなった。失業者の不満が当局に向けば、体制を揺るがすような事態が発生しかねない。
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