アフリカでEVが思うように進まない背景―米メディア
15日、環球時報は、アフリカで電気自動車(EV)の普及がなかなか進まない現状について紹介する、米メディアの文章を紹介する記事を掲載した。写真はケニアの首都ナイロビ。
2024年3月15日、中国メディアの環球時報は、アフリカで電気自動車(EV)の普及がなかなか進まない現状について紹介する、米メディアの文章を紹介する記事を掲載した。
記事は米紙クリスチャン・サイエンス・モニターの11日付文章を紹介している。それによると、ケニアの配達ドライバーたちが近ごろ、ガソリン価格高騰による苦悩について議論を交わしていたとする一方で、その側では電動バイクを運転するオトゥンガさんが「2年前だったら、議論の輪の真ん中にいただろう。今ではガソリンの値上がりはまったく気にならない」と語ったことを伝えている。
オトゥンガさんはシェフを志していたものの仕事が見つからず、数年前に現地で「ボダボダ」と呼ばれるバイクに乗って配達をする仕事を始めたとのこと。しかし、ガソリンバイクから出る黒煙と騒音により近隣住民から苦情が出るようになった上、ガソリンの価格も上昇を続け、悩ましい日々を送っていたという。
一方同国では3年余り前に、スウェーデンとケニアの合弁企業によって電動バイクが普及し始めた。オトゥンガさんにも買い替えのセールスが来たものの、ガソリンバイクの2倍の値段がすることからすぐには手が出なかった。ただ、煙や悪臭、騒音の問題がない電動バイクのメリットを感じたオトゥンガさんは、1年半の倹約生活によってお金を貯め、22年に晴れて電動バイクを購入。維持コストや効率が改善したことで、ガソリンバイク時代より多く稼げるようになったそうだ。
文章は、アフリカでは需要の高さと規制の緩さから、アジアや欧州で売れなくなった中古の化石燃料自動車がどんどん輸入されており、世界の中古車の約4割がアフリカに行き着いていると紹介。この状況がアフリカにおけるEVの普及を遅らせており、二酸化炭素排出の削減が進まないと指摘した。一方で、アフリカ諸国の政府も現状を打破すべく動きを見せており、ケニア政府が昨年、製造から8年以上経過した中古車の輸入を禁止し、ルワンダでもEVの輸入関税が撤廃されたと伝えた。
一方で「それでもアフリカの多くのEV企業は中古の化石燃料車との競争に苦戦しており、EVと化石燃料車と間に現地市民の年収に相当するほどの価格差があることが要因になっている」と説明。このため、新興EVメーカーは現地でEVではなく電動バイクの生産に力を入れているのだと伝えた。(翻訳・編集/川尻)
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