「ぜいたく食料品」の激安セールに沸く北朝鮮の国内市場
国際社会の制裁が、庶民の暮らしに深刻な影響を及ぼしつつある北朝鮮。市場にはモノがあっても買う人がいないため、商人の数が激減したと伝えられている。
その一方で奇妙な現象が起きている。現地で「ぜいたく品」とされてきた海産物の値段が暴落しているというのだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、市場で売られている海産物の値段が下がり続け、新鮮なズワイガニ、エビ、タラなどが安値で売られ、庶民でも手が出せるほどになったと伝えた。
この地域の市場では今年1月の時点で、毛ガニ1キロが80元(約1280円)で売られていた。それが今月には10元(約160円)で、半年足らずで8分の1に暴落した。また、エビは8元(約128円)、スケトウダラは3元(約48円)で売られている。今まで庶民の手に届かなかった海産物だが、値段の暴落を受けて久々に買い求める人が増えている。
現地の別の情報筋は、市場の食料品価格が上がっているのに海産物だけ下がっているのは「異常現象」としつつも、「物価上昇に不安を感じていた庶民は、少し安堵している」と現地の雰囲気を伝えた。
ちなみにコメは2.6元(約41円)~3元(約48円)だったのが3.5元(約56円)に、トウモロコシは1元(約16円)~1.3元(約21円)だったのが1.5元(約24円)に、大豆は2元(約32円)~2.3元だったのが2.6元(約37円)になり、緩やかながら値上がりしている。
前述の情報筋は海産物の値下がり要因として豊漁を、海産物を扱う商人と消費者は、中国への輸出ができなくなったことを挙げている。
「以前、制裁で輸出ができなくなった石炭の価格が暴落し、そのおかげで国民の冬の暖房問題が解決した」(情報筋)
しかし、石炭の安価供給は長続きしなかった。炭鉱は、石炭を輸出して得た外貨で運転資金を賄ってきたのに、国内で投げ売りする「自転車操業」が行き詰まり、石炭価格が上がってしまったのだ。
今は安値で庶民を喜ばせている海産物だが、漁船の燃料が枯渇すれば、また高嶺の花に戻ってしまうだろう。
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