少女の頭をこん棒で…北朝鮮「見せしめ重罰」に見る暗黒時代
国際社会の経済制裁に、コロナ鎖国で、極度の経済難に陥っている今の北朝鮮。食うや食わずの状態に陥った人々は次から次へと犯罪に手を染めている。犯罪が増加し、それに対応して公開処刑が横行した1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の暗黒時代をほうふつさせる状況だ。
北朝鮮国内では最も豊かと言われている首都・平壌ですら、郊外を中心に犯罪が多発し、夜道を一人で歩けないほどの状況に陥っている。
治安の急速な悪化に不安を訴える声が上がる中、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、最近行われた公開裁判について伝えた。場所は道内北部、大規模な管理所(政治犯収容所)があることで知られている价川(ケチョン)市だ。
多くの人が見守る中で、引き立てられてきたのは21人の被告。うち19人が窃盗犯だという。情報筋は、うち1人の罪状について説明した。
价川鉄道局営業所に勤務する労働者は、市内のチョルリキル洞の民家に押し入り、コメとトウモロコシなどありったけの食べ物を盗もうとしたところ、その家の娘に見つかり、木の棒で頭部を殴りつけて逃走したものの、後に逮捕された。彼には10年の労働教化刑(懲役刑)が言い渡された。
この量刑は、法で定めた範囲を超えている。
刑法271条は、故意に人の生命を脅かすほどの傷を負わせたり、労働能力を顕著に低下させたりした場合は5年以下の労働強化刑に処すと定めている。また、283条は、個人財産を盗んだ場合には1年以下の労働強化刑に処すと定めている。
復数の容疑がある場合の扱いを定めた刑法45条に基づき、最高刑は5年6ヶ月になるはずだが、それを大幅に越える判決が下された。
これは、当局の犯罪撲滅キャンペーン中に逮捕され、見せしめとして量刑が増やされたケースとも考えられる。処刑されなかっただけまだマシと言えるかも知れない。逆にカネとコネさえあれば減刑はもちろんのこと、収監直後に釈放させたり、事件そのものをもみ消してもらったりもできる。司法の場においても法執行が徹底されていないのが、北朝鮮の実情だ。
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