北朝鮮の中高生「残酷な夏休み」…少女搾取に上納金も
北朝鮮の学生たちにとって、夏休みは必ずしも楽しいばかりのものではない。学校や国家から、様々な課題を押し付けられたり、組織生活や思想の総括を強いられたりするからだ。
いちばん憂鬱なのは、海外にいる留学生かもしれない。国に呼び戻されれば、外国の自由な空気から離れなければならないだけでなく、下手をすると一生を棒に振ることにもなりかねないからだ。
それほどでもないにせよ、まだ幼い中学生らも憂鬱な問題を抱えている。
北朝鮮で、青少年は春に30日、夏に30日、秋に45日間、農村支援に動員される。この期間、学生たちは学校にも行かずに家族から離れて、協同農場で農作業をしなければならない。中学校3学年から大学を卒業するまでずっとだ。
この他にも、国家のひっ迫した外貨事情を支えるため、学校が主導する「忠誠の外貨稼ぎ運動」に動員される。両江道(リャンガンド)の情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところでは、現地の中高生は輸出用の「トゥルチュク」(和名クロマメノキ)採集に動員されるという。これはブルーベリーの一種で、酒、ゼリー、ジャムなどに加工され、輸出されている。また、北朝鮮を訪れる外国人観光客の定番の土産でもある。
もし、この課題から逃れたいと思えば、生徒らは学校に中国人民元で50元の「免除金」を上納しなければならない。裕福な家庭ならいざ知らず、庶民の子にとっては大金である。
ところが最近では、少なくない中高生が、この金額を上納するのだという。しかも、自分でアルバイトをして貯めたお金を払うのだ。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋はRFAに対し、次のように語っている。
「多くの中高生が、家の生計を助けるために金を稼いでいるのだ。わが国の中高生にとって、夏休みはいつの間にか労働の季節になった。働かないのは幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の子どもぐらいだ」
子どもたちの多くは、輸出向けの軽工業品を作る工場で、手作業に従事するのだという。そうすれば、学校に免除金を払ってもけっこうな額が残るのだと言うが、工場の中には、「女工哀歌」並みの少女搾取を行っている現場もある。
そんな庶民の子どもたちをよそに、金持ちの子の中にはハメを外し過ぎて、大問題を起こす向きもいる。
幼いときから苦労を買って出て、資本主義に触れた北朝鮮の子どもたちが、いずれその経験を生かしてビジネスを学び、あの国を立て直してくれることに期待したい。
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