「人生終わったも同然」北朝鮮の留学生が怯える“恐怖の夏休み”
海外で学んでいた北朝鮮の留学生に、帰国のときが迫っている。中国のデイリーNK情報筋によると、遼寧省丹東のホテルに中国各地の大学に通っている留学生が集結させられた。その数は100人から200人。宿泊費の負担を考えると、待機期間はそう長くならないと見られるが、いつ帰国が実現するか、他に留学生が集結させられている場所があるかは確認されていない。
北朝鮮は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を恐れて国境を封鎖、人と物の出入りを一切禁じた。留学生や派遣労働者、外交官など、海外在住の北朝鮮国民の帰国も禁じられた。密かに国境を越えて帰国しようとする者は容赦なく射殺された。
しかし、北朝鮮は徐々にではあるが国境の出入りを再開しており、いよいよ留学生の帰国が始まるというワケだ。
3年以上も家族と会えなかった留学生の中には、帰国を喜ぶ者もいるかもしれない。しかし、もともと彼らにとって、主として夏休みに命じられていた一時帰国は、恐怖の対象でもあった。
米政府系のラジオ・フリー・アジアは2017年、一時帰国の実態について、ある脱北者の次のような話を伝えた。
「当局は海外にいる留学生を平壌に集め、15〜20日間ほど、人民大学習堂や青年同盟の強要学習所で思想学習と思想検討を受けさせる」
海外で資本主義に染まった考え方を徹底的に追及、除去することで、脱北を防ぎ、社会に悪影響を与えないようにするのが目的だ。
一連の日程の中でもっとも重要なものは「大論争」と呼ばれるものだ。
「思想的に問題がある」と見られた人物を壇上に立たせ、他の学生に徹底的に批判させるというものだ。その対象は、国家保衛省(秘密警察)が常日頃の監視の結果に基づき、あらかじめ選定する。こうなれば大学に戻れないのはもちろん、その後の出国も困難になる。ひどい場合には収容所に送られて家族と生き別れになるかもしれず、「人生は終わったも同然だ」と脱北者は言う。
国の未来に重要な貢献をするであろう留学生に学業の放棄を強いるのは、当局がいかに海外情報の流入を危険視しているかの表れだ。
今回も北朝鮮当局は、留学生を一時帰国の最優先対象としている。コロナ禍において、脱北したり、行方不明になったりした者が少なからず存在し、当局が問題視しているからだ。その次に北朝鮮レストランの従業員、貿易関係者、派遣労働者の順で帰国させる計画だ。
そんな中、平壌と北京を結ぶ国際列車が22日にも運行を再開するとの話が出ている。
平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、22日の列車に乗って、平壌から北京に向かう人々が出国準備を行っていると伝えた。その中には、多くの貿易関係者も含まれている。今のところ、22日の再開は決定事項であるものの、上部からの指示があればいくらでも変更されうると情報筋は述べた。
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