「子どもの駄賃」レベルの年金も中断、北朝鮮経済の深刻さ
北朝鮮の社会主義労働法は74条で、次のように定めている。
国家は男60歳、女55歳に達した勤労者に一定の勤続労働年限を持った場合に年老年金を与える。
年金には様々な種類があるが、最も一般的な年老者年金の場合、月の基本生活費の30%を支給することと定められている。功労があった人に支給される功労者年金の場合は、最高でその倍額だ。
実際の額を見ると、年老者年金の場合には月700北朝鮮ウォン(約16円)、7つ以上の勲章を得た場合には月1500北朝鮮ウォン(約35円)が支給される。だが、いずれにしてもコメが1キロ4000北朝鮮ウォン(約92円)、北朝鮮で4人家族の一般的な生活費は月50万北朝鮮ウォン(約1万1500円)であることを考えると、とてつもなく少ない額だ。
この少なさは、一般労働者の月の基本給、4000北朝鮮ウォンをベースに算出したためだ。ところが最近、子どもの駄賃くらいにしかならない年金ですらも支給されなくなったと、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
道庁所在地の恵山(ヘサン)市など道内の複数の地域で、年老者年金の支給が中断された。これは道の財政事情の悪化によるもので、すでに3ヶ月支給が止まっている。
年金の財源となるのは、市場で商売をする商人から徴収する市場管理費、いわゆる「ショバ代」だが、国際社会の制裁、凶作、コロナ鎖国による密輸の激減、モノ不足、物価高などで市場は活気を失い、店を畳む人が増えていると伝えられている。一部では商人が以前の半分に減ったとの話もあり、市場管理費を払えず、路上で露店を開く人も増えている。
さらに、国の市場に対する統制も強化されている。商人の数が減れば、得られる市場管理費の額も減る。そのしわ寄せが年金生活者に向かっているのだ。
年金の額が少なすぎることから、年金の支給中断で、年金生活者の生活そのものに与える影響は事実上ない。ただ、国が雀の涙ほどの額の年金すら払えなくなったことで、不安心理が広がっている。
「年老保証金(年金)は実際の生活に大きな助けにはならない金額で、そこにこだわっている人はほとんどいない。ただ、そんな額すら支給できなくなったことで、『今後はもっと苦しくなるだろう』と不安感を示す住民が増えている」(情報筋)
Copyright(C)DailyNKJapan 2014
「年金」をもっと詳しく
「年金」のニュース
-
65歳から1年間、月10万円のアルバイトをしたら、将来もらえる老齢厚生年金は、いくら増えるの?5月3日18時30分
-
私は1960年9月生まれです。64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができますか? 繰り下げ受給できるのでしょうか?5月2日20時30分
-
69歳・月の年金17万円では「貯金もできない。老人ホーム資金をどうすれば」資産680万円男性の嘆き5月2日20時5分
-
豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼロ計画の一環5月2日19時17分
-
節約・年金暮らしでも〈体にいいこと出費〉は止められない。酵素風呂に整体、サプリメント…気づけば月3万円に5月2日12時30分
-
マネタリーベース、4月は2.1%増 年金払い込みで当預が拡大5月2日11時28分
-
1963年7月生まれ女です。私が63歳からもらえる年金はありますか? 65歳からもらえるのは何の年金でしょうか?5月1日20時30分
-
67歳男性・月の厚生年金17万7700円で余裕の暮らし「翻訳関係の仕事で月15万円」準備万端の年金生活5月1日20時5分
-
来年60歳になる専業主婦です。年金繰下げを考えていますが、国民年金に「任意加入」ができるのでしょうか?5月1日18時30分
-
ノルウェー政府年金基金、NGOなどがイスラエル投資全面撤回要求5月1日12時59分