北朝鮮の女子大生60人「けしからん行為」で吊し上げ連行
北朝鮮の金正恩総書記は今月3日から2日間にわたり行われた第5回全国母親大会で演説し「最近、社会的に異質的な傾向との闘いを強化していますが、母親たちが積極的に合流してこそ、そのような傾向を完全に一掃することができます」と呼びかけた。
何のことかと言えば、若者を中心に密かに流行している韓流ドラマや映画、そしてそこから影響を受けた韓国式の言葉遣いやライフスタイルの取締りに、積極的に協力しろということだ。
つまり、「息子や娘がかわいければ、しつけに責任を持て。それが出来ないなら、子どもの身に何が起きるかわからないぞ」という脅しでもある。
これを受け、少なくない母親たちが緊張していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が北朝鮮国内の情報筋の話として報じている。
それもそうだろう。北朝鮮当局の韓流取締りは厳しさを増す一方だ。別名「韓流取締法」とも呼ばれる反動思想文化排撃法に違反すれば、下手をすると死刑である。またそこまで重い処罰でなくとも、若者たちがひどい目に遭わされた事例は無数に存在する。
特に江原道(カンウォンド)の元山(ウォンサン)師範大学では今年6月、一度に60人もの女子大生が吊し上げにされ、話題になった。
大学では6月19日、道内の大学生全員を集めた上で、今年上半期の反社会主義・非社会主義行為に対する公開闘争と公開裁判が行われた。そこでは、反動思想文化排撃法などに違反した60人の女子大生が、20人ずつ壇上に立たされた。そして「罪状」が読み上げられた上で、次のような批判を徹底的に浴びせかけられた。
「駭怪罔則(奇妙でけしからん)な行為を行った者ども、ろくでもない行為をやらかした者ども、浮華放蕩(浮かれて贅沢三昧)な行為を行い続けた者どもなど、醜悪な面構えをした者どもが、社会を汚染している」
中でも1人の学生に対しては、罪状が非常に重いとして、無期労働教化刑(無期懲役刑)が言い渡された。3人には有期の労働教化刑、2人には労働鍛錬刑(短期の懲役刑)が言い渡された。たとえ有期刑であっても、環境の劣悪な北朝鮮の教化所(刑務所)から五体満足で出てくるのは、非常に難しいことだ。
さらに、別の10人はどこかへ連行されてしまったという。
しかし、北朝鮮においてこうした取締りは、いまに始まったことではない。反動思想文化排撃法が制定されてからも3年が経つ。それでも摘発される若者が後を絶たないのは、韓国文化の影響の根の深さを物語っている。たとえ親が諭しても、若者たちが言うことを聞くとは限らない。
母親たちの緊張の日々は、長く続くことになるだろう。
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