禁止されてもクリスマスを楽しもうとする北朝鮮の若者たち
キリスト教徒が人口の4分の1を占める韓国では、12月25日は「聖誕節」(クリスマス)として祝日に定められている。当日の深夜には、全国の教会で礼拝が行われ、テレビではその様子が生中継される。
一方、事実上宗教が禁じられ、特にキリスト教に対する弾圧が非常に厳しい北朝鮮には、クリスマスを祝う習慣は存在しない、はずだった。
だが、多くの北朝鮮国民、特に若者はクリスマスの存在を知っている。正確な由来は知らなくとも、韓流など海外のドラマや映画でクリスマスを祝っている様子を見て、12月25日は世界的に祝われる日であることを認識しているのだ。中には、この日に合わせてプレゼントを交換する人もいるという。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は「若者だけがクリスマスを知っていると考えているのなら誤解」だとして、親の世代でも海外のドラマ、映画を多く接している人を中心に、「幸せに包まれて過ごすお祝いの日」という認識を持っているとのことだ。
だが、韓流の根絶を叫んでいる当局からすると面白くない。また、現在は金正日総書記が亡くなってから10年を迎え、年末まで特別警備週間となっており、当局は、家族単位などの年末の集まり、飲酒、密造酒の禁止、事件事故の防止、24日と25日の金氏一家偉大性学習記念講演会の開催、30日の忠誠の歌の集まりと徳性発表会の開催など、禁止と行事への動員で国民を締め付けている。
安全部(警察署)、保衛部(秘密警察)、非社会主義・反社会主義連合指揮部(風紀取り締まり班)などが、夜遅くまで歌舞音曲に興じている家はないか、クリスマスパーティや忘年会を開いている家はないか取り締まっている。また、路上で携帯電話のチェックを行い、韓流ドラマ、映画のファイルはもちろんのこと、クリスマスツリーの画像があるだけで逮捕するなど、恐怖を煽っている。
それでも若者を中心に「お祝いの日なのだから楽しもう」と、金正日氏の命日、特別警戒週間、それに伴う取り締まりなど気にせずに自由に楽しもうとする傾向があると、情報筋は伝えた。
このような傾向は今に始まったものではなく、かなり以前から続いている。仮に北朝鮮当局が新たな韓流の流入遮断に成功したとしても、既に変化して知った人々の行動や考え方を、元に戻すことなど不可能なのだ。
当局は特に若者への思想教育を強化し、彼らは表面上それに従うような様子を見せたとしても、裏ではやりたい放題やっている。
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