imec、超音波技術を用いた医療向け小型・低消費電力ワイヤレス給電装置を発表
マイナビニュース2024年3月15日(金)10時26分
医療用の埋め込み型デバイスのワイヤレス給電を可能とする、超音波ベースの小型・超低消費電力ワイヤレス給電装置を開発したとベルギーimecが発表した。
チップサイズが0.75mm×1.88mmのASICと、PMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer:圧電MEMS超音波トランスデューサ)をあわせた8mm×5.3mmの小型モジュールながら、正確なビームステアリング(最大角度53度)を可能としつつ、必要な電力消費量を従来品に比べて69%削減することに成功したとしており、これは市場に出回る最先端機器の中でも、最小クラスの小型かつ低消費電力のワイヤレス超音波電源装置だという。大域的電荷再分配断熱ドライバ(global charge-redistribution adiabatic driver)は最先端のコンセプトで、従来のテザー接続またはバッテリーに関連する課題に対処することで、低侵襲のワイヤレスインプラントへの道を開くとimecは説明している。
神経疾患の治療のための従来の侵襲的な配線では、瘢痕や感染などの合併症のリスクがある。また、バッテリを人体に埋め込むとサイズや化学物質の漏洩に関する懸念が生ずる。そこで、imecと蘭デルフト工科大学は、侵襲的処置やかさばるコンポーネントを排除し、欧州研究評議会(ERC)が資金提供した「ニューロンのイントラネット」プロジェクトにおいて、神経インプラントにワイヤレスで電力を供給し、頭蓋骨から脳皮質までの距離をうまく伝搬する超音波技術を開発した。
これを実現するために、研究者らは「グローバル電荷再分配」(GCR)の概念に基づいた独自の断熱駆動技術を開発したという。従来の断熱駆動方法とは異なり、このアプローチは超音波トランスデューサアレイ自体の寄生コンデンサを利用する形で電荷を再利用することで、電荷を再分配するための外部コンデンサを不要とし小型化を実現したとする。試作チップは、TSMCの65nmプロセスで製造され、116μm×116μmの駆動ユニットを搭載し、従来のDクラスの駆動方式と比べて69%の電力削減が可能だという。imecの開発担当ディレクタのYao-Hong Liu 氏は、今回の成果について、まだ改善の余地がたくさんあるとしつつ、今後、実際の生体内条件での当社の技術の実用化に向けて医療の専門家や研究者とのコラボレーションを図っていきたいとしてえる。
なお、同ワイヤレス給電装置の回路設計技術の詳細については、2月に開催されたISSCC 2024(論文番号6.2:Marios Gourdouparis(imec)ほか、「An Ultrasound-Powering TX with a Global Charge-Redistribution Adiabatic Drive Achieving 69% Power Reduction and 53° Maximum Beam Steering Angle for Implantable Applications」)で発表されたという。
チップサイズが0.75mm×1.88mmのASICと、PMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer:圧電MEMS超音波トランスデューサ)をあわせた8mm×5.3mmの小型モジュールながら、正確なビームステアリング(最大角度53度)を可能としつつ、必要な電力消費量を従来品に比べて69%削減することに成功したとしており、これは市場に出回る最先端機器の中でも、最小クラスの小型かつ低消費電力のワイヤレス超音波電源装置だという。大域的電荷再分配断熱ドライバ(global charge-redistribution adiabatic driver)は最先端のコンセプトで、従来のテザー接続またはバッテリーに関連する課題に対処することで、低侵襲のワイヤレスインプラントへの道を開くとimecは説明している。
神経疾患の治療のための従来の侵襲的な配線では、瘢痕や感染などの合併症のリスクがある。また、バッテリを人体に埋め込むとサイズや化学物質の漏洩に関する懸念が生ずる。そこで、imecと蘭デルフト工科大学は、侵襲的処置やかさばるコンポーネントを排除し、欧州研究評議会(ERC)が資金提供した「ニューロンのイントラネット」プロジェクトにおいて、神経インプラントにワイヤレスで電力を供給し、頭蓋骨から脳皮質までの距離をうまく伝搬する超音波技術を開発した。
これを実現するために、研究者らは「グローバル電荷再分配」(GCR)の概念に基づいた独自の断熱駆動技術を開発したという。従来の断熱駆動方法とは異なり、このアプローチは超音波トランスデューサアレイ自体の寄生コンデンサを利用する形で電荷を再利用することで、電荷を再分配するための外部コンデンサを不要とし小型化を実現したとする。試作チップは、TSMCの65nmプロセスで製造され、116μm×116μmの駆動ユニットを搭載し、従来のDクラスの駆動方式と比べて69%の電力削減が可能だという。imecの開発担当ディレクタのYao-Hong Liu 氏は、今回の成果について、まだ改善の余地がたくさんあるとしつつ、今後、実際の生体内条件での当社の技術の実用化に向けて医療の専門家や研究者とのコラボレーションを図っていきたいとしてえる。
なお、同ワイヤレス給電装置の回路設計技術の詳細については、2月に開催されたISSCC 2024(論文番号6.2:Marios Gourdouparis(imec)ほか、「An Ultrasound-Powering TX with a Global Charge-Redistribution Adiabatic Drive Achieving 69% Power Reduction and 53° Maximum Beam Steering Angle for Implantable Applications」)で発表されたという。
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