阪神・大竹耕太郎が考察 なぜ阪神投手陣は与四球が少ない? 古巣・ソフトバンクとの「文化の違い」【独占】
激動の1年間を送った大竹。阪神入団1年目で声価を高めた左腕は、率直な想いを明かした。(C)CoCoKARAnext
現役ドラフトでの阪神入りから日本シリーズ制覇まで駆け抜けた大竹耕太郎。
キャリアの転機とも言える1年を技巧派左腕は、どのように過ごしたのか? その時々で感じたこととは? 『CoCoKARA Next』が行った単独インタビューを3回に分けてお送りする。
栄えある第1回は大竹が考える、古巣・ソフトバンクと阪神の「文化の違い」を語ってもらった。
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この激動の1年を大竹は、「ホークスでは当たり前だったことが、阪神では非常識だったりと文化の違いもありました。でも、うまく対応できたというか、早く慣れることができました。チームメイトも歓迎してくれて、監督・コーチ含めてやりやすい環境を整えてくれた。1年間あっという間でしたし、安心してピッチングできた。1試合1試合全力でやっていく、その積み重ねで1年が終わった感覚でした」と振り返った。
言葉ににじみ出る充実ぶりは、何よりも実績が物語る。2022年12月に初めて実施された現役ドラフトでソフトバンクから阪神へ移籍。過去5年間で通算10勝だった左腕だったが、移籍1年目ながら12勝をマークした。しかも敗戦投手となったのは、わずか2回。ひとりで“貯金10”を稼ぎ、勝率は驚異の.857を記録した。チームの18年ぶりリーグ制覇、そして38年ぶりの日本一へ明確に貢献した。
異なるリーグへの移籍に伴い、環境、そして文化の違いは起こり得るものだが、大竹は「四球」をキーワードに話を進める。
「監督の試合後コメントを読むなかで、ホークスだったら『今日投げていた投手は、球速何キロ出てて三振を何個とった』が普通なんですけど、阪神は『今日は低めにボールがいっていた。四球が何個だった、出さなかった』が第一声。そこもまた文化の違いではあるんですけど、バッターで言えば、四球の査定評価を上げて四球の価値を高める。
四球を絡めて点を取っていく。そういう野球を自分も見ていたし、点につながっていく光景を見るなかで、他のピッチャーもそうだと思いますけど、逆に言えばそうしなければ大量点はないという感覚で投げていました。『もう、四球を出すくらいなら打たれてもいいや』と。みんなそういう感覚で投げていたのかなと思いますね」
話題となった「四球の査定アップ」は投手陣にも影響
23年シーズンの阪神は「四球の査定アップ」が話題になった。岡田彰布監督が「ちょっと上げてくれ」と球団に掛け合い、選手に向かってつり出した効果はてきめんで、前年の358から494個と大きく伸びた。
打線のつながりに一役買っただけでなく、投手陣にも影響があったようだ。もともと阪神はリーグ有数の「四球を出さない」投手陣ではあるが、さらなる後押しになったことだろう。
大竹は加えて、自らの感覚も口にする。
「四球を出さない感覚で投げていないというか。なんていうんですかね……四球出さないように投げると四球が出るんですよ。矛盾しているんですけど(笑)。それはホークス時代にみんなが悩んでいた。眼中にないんですよね。そもそも(四球を)出したらどうしようというのがないので。3ボールになっても、ここからどう抑えようかな?という発想なんですよね。
『やばい、四球出しちゃう』じゃなくて、逆に3-1のカウントになっても、ど真ん中に投げてちょっと曲げちゃえば、振ってくれるから内野ゴロ取れそうだなって発想になってくる。ホークスは四球が多いチーム、阪神は一番少ないチームなので、2チームを分析した結果、『四球を出す・出さない』が阪神の投手はあまり眼中にないというか、その結果出ていない感じはしました」
これまでとは全く異なる環境に身を投じた大竹。しかし、28歳の左腕にとって、パ・リーグの常勝軍団との違いは、小さくない刺激になったようだ。
インタビューの第2回は、熱狂的な甲子園球場、そして名将・岡田監督について、大竹が語っていく。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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