勝てばどちらも初優勝 似た傾向持つ岡山学芸館と東山、「NEXT100」の選手権を制するのは?
サッカーキング2023年1月8日(日)19時24分
勝てばどちらも選手権初優勝となる岡山学芸館(上)と東山(下) [写真]=金田慎平
9日、成人の日の国立競技場にて101回目の高校サッカー王者が決定する。勝ち残ったのは岡山学芸館(岡山)と東山(京都)。どちらも初めてのファイナルであり、どちらが勝っても初優勝となる。
このレベルでぶつかるチームはどこかしらでの対戦経験があるものだが、意外にも「練習試合を含めて、まったくやったことがない」(東山MF阪田澪哉)。選手に互いの印象を聞いても必然的にちょっとフワッとした回答が多くなった。まずは慎重な入りから互いの手の内を探るような戦いになるかもしれない。
その中で共通して出てきたポイントは中盤中央での攻防だ。岡山学芸館の10番として中盤に君臨するMF山田蒼が「誰が相手でも負けたくない」と意気込めば、「ボランチのところでは絶対に負ける気はない」と東山のMF真田蓮司は言い切る。
技巧に優れて攻撃的なプレーを好む真田とアンカー役としてボールをさばきつつ、フィジカル面の強さを活かして防波堤にもなる松橋啓太の中盤中央のコンビは東山の生命線。対する岡山学芸館も、攻守万能で評価うなぎ登りの長身ボランチ山田と小柄で機動的な木村匡吾のコンビはチームの屋台骨である。真田と木村はU-17日本高校サッカー選抜候補でポジションを争ったこともあり、互いに持ち味を出せるかが勝敗の分岐点ともなりそうだ。
岡山学芸館の高原良明監督はチームの目指すスタイルを「縦に速いポゼッション」という言葉で形容する。特に奪ったボールを失わないことは大事にしており、日頃の練習でもポゼッションメニューを取り入れるが、「まずゴールへ向かうのが大前提」(高原監督)。横へ横へと繋ぐU字型のボール回しに陥ることは否定し、横からのシンプルなクロスなど形にこだわらずに攻め切ることを重視する。このバランスが今大会は特に機能している。
対する東山も、日本代表MF鎌田大地を輩出した実績からも分かるように、技巧的な選手を重視してきた伝統はありつつも、同時に現代サッカーに求められる強度も追求してきた。特に昨季、青森山田(青森)との公式・非公式での対戦を通じて得た学びは大きかったようで、敗戦は重なったものの、特に最後の選手権での対戦時は最も青森山田を追い詰めたゲームにまで辿り着き、「選手たちは自信を付けてくれた」(福重良一監督)。
結果的に少し似た傾向を持つチームに仕上がっている両校だが、もう一つ見逃せない共通点はスターティングラインナップが固定され、選手交代を余り多用しないこと。スタメン組の11人を除いて50分を超えるプレー時間があるのは岡山学芸館が1名いるだけで、東山は1名もいない。連戦での消耗も重なる中で迎える決勝は45分ハーフに加えて延長戦もある。出場時間の短かった選手たちをどう活用できるかも一つのポイントとなりそうだ。
岡山学芸館の高原監督は就任15年目、東山の福重監督は同16年目に当たり、本格的な強化が始まった時期も近い新鋭2校が「NEXT100」と銘打たれた選手権決勝で相対する。最後の戦いは、新時代に向けた最初の戦いになるとも言えるかもしれない。
取材・文=川端暁彦
このレベルでぶつかるチームはどこかしらでの対戦経験があるものだが、意外にも「練習試合を含めて、まったくやったことがない」(東山MF阪田澪哉)。選手に互いの印象を聞いても必然的にちょっとフワッとした回答が多くなった。まずは慎重な入りから互いの手の内を探るような戦いになるかもしれない。
その中で共通して出てきたポイントは中盤中央での攻防だ。岡山学芸館の10番として中盤に君臨するMF山田蒼が「誰が相手でも負けたくない」と意気込めば、「ボランチのところでは絶対に負ける気はない」と東山のMF真田蓮司は言い切る。
技巧に優れて攻撃的なプレーを好む真田とアンカー役としてボールをさばきつつ、フィジカル面の強さを活かして防波堤にもなる松橋啓太の中盤中央のコンビは東山の生命線。対する岡山学芸館も、攻守万能で評価うなぎ登りの長身ボランチ山田と小柄で機動的な木村匡吾のコンビはチームの屋台骨である。真田と木村はU-17日本高校サッカー選抜候補でポジションを争ったこともあり、互いに持ち味を出せるかが勝敗の分岐点ともなりそうだ。
岡山学芸館の高原良明監督はチームの目指すスタイルを「縦に速いポゼッション」という言葉で形容する。特に奪ったボールを失わないことは大事にしており、日頃の練習でもポゼッションメニューを取り入れるが、「まずゴールへ向かうのが大前提」(高原監督)。横へ横へと繋ぐU字型のボール回しに陥ることは否定し、横からのシンプルなクロスなど形にこだわらずに攻め切ることを重視する。このバランスが今大会は特に機能している。
対する東山も、日本代表MF鎌田大地を輩出した実績からも分かるように、技巧的な選手を重視してきた伝統はありつつも、同時に現代サッカーに求められる強度も追求してきた。特に昨季、青森山田(青森)との公式・非公式での対戦を通じて得た学びは大きかったようで、敗戦は重なったものの、特に最後の選手権での対戦時は最も青森山田を追い詰めたゲームにまで辿り着き、「選手たちは自信を付けてくれた」(福重良一監督)。
結果的に少し似た傾向を持つチームに仕上がっている両校だが、もう一つ見逃せない共通点はスターティングラインナップが固定され、選手交代を余り多用しないこと。スタメン組の11人を除いて50分を超えるプレー時間があるのは岡山学芸館が1名いるだけで、東山は1名もいない。連戦での消耗も重なる中で迎える決勝は45分ハーフに加えて延長戦もある。出場時間の短かった選手たちをどう活用できるかも一つのポイントとなりそうだ。
岡山学芸館の高原監督は就任15年目、東山の福重監督は同16年目に当たり、本格的な強化が始まった時期も近い新鋭2校が「NEXT100」と銘打たれた選手権決勝で相対する。最後の戦いは、新時代に向けた最初の戦いになるとも言えるかもしれない。
取材・文=川端暁彦
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