高校サッカー選手権決勝、岡山学芸館vs東山、勝負を決めたのは【試合分析】

2023年1月10日(火)18時0分 FOOTBALL TRIBE

田口裕真(左)木村匡吾(右)写真:Getty Images

2022年12月28日から1月9日まで繰り広げられた第101回全国高校サッカー選手権大会。高校生による熱い戦いが繰り広げられ、各都道府県代表48校(東京都は2校)の頂点が決定した。


1月9日の決勝戦は国立競技場で50,868人の観衆が見守る中、岡山学芸館高校(岡山)と東山高校(京都)が対戦。結果は、3-1で岡山学芸館が勝利し、岡山県勢初となる優勝を果たしている。ここでは同試合を振り返ってみよう。




東山高校 MF松橋啓太 写真:Getty Images

お互い良さがぶつかりあった中盤の攻防


特徴の異なる中盤を推す、岡山学芸館と東山。岡山学芸館には、球際の強さと豊富な運動量が特徴のMF木村匡吾とMF山田蒼の2名が。東山には、展開力とボールコントロールに優れたMF真田蓮司とMF松橋啓太の2名がいる。試合開始から双方の良さがぶつかり合う。


前半は東山の時間が多かった。MF松橋は、クロアチア代表MFルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)を彷彿させるようなプレーで、ボールを縦と左右に振り分けた。また岡山学芸館の厳しい守備のなかでも前を向く技術を披露した。


一方、岡山学芸館はMF木村が激しい上下のスプリントを見せると、MF山田はセカンドボール奪取に奮闘。山田がセカンドボールを拾い続けることで、東山は連続攻撃をすることができなかった。




井上斗嵩(左)清水楓之介(右)写真:Getty Images

一進一退の前半45分


両校共に、センターバックがキャプテンマークを巻いた。岡山学芸館のDF井上斗嵩と、東山のDF新谷陸斗。ここまでチームを牽引した両主将が体を張ったディフェンスを見せ、両校ゴールを割ることができない。


そんななか前半25分、岡山学芸館が中盤でボールを運び、右サイドのFW今井拓斗へ。今井が中へクロスを送ると、戻りながらディフェンスをしたDF新谷の足にあたり、岡山学芸館が先制する。


このままでは終わらせない東山は、前半44分MF松橋からの縦パスで、FW北村圭司朗が左サイドを抜ける。空いたスペースへ猛然と走ってきたのはMF真田。ゴール右上へ右足一閃。これには岡山学芸館GK平塚仁もノーチャンス。試合を前半のうちに振り出しに戻す。


岡山学芸館高校 MF木村匡吾 写真:Getty Images

勝負を決めたのは165㎝のダイナモ


前半からその運動量で東山の攻撃を消し続けてきた岡山学芸館のMF木村匡吾。ゴール前へ走りこんだのは後半7分だった。


岡山学芸館らしい左サイドでの崩しからDF中尾誉が中へクロスを上げる。クロスを待っていたのはエースであるFW今井ではなく、その木村だった。東山ディフェンス陣もまさか木村が走りこんでくるとは思わなかったはず。165cmのダイナモ(中盤で運動量が豊富な選手)が体を精一杯伸ばして決めたゴールは貴重な勝ち越しゴールとなった。


東山もここで終わる気は毛頭ない。MF真田とMF松橋が中盤でボールをコントロール。左右にボールを振り、右サイドからMF阪田澪哉が何度も仕掛ける。しかし、岡山学芸館のディフェンスは集中を切らさず東山の攻撃を跳ね返し、なかなかゴールを割ることができない。後半29分、MF真田のクロスに対し、MF阪田が頭で合わせるもクロスバーをたたく。


フィナーレとなったのは、後半39分。またしてもダイナモ木村が輝いた。DF福井槙のロングスローからファーサイドへボールが流れる。そこに木村はいた。ダイレクトでボールに合わせたシュートは東山ゴールに吸い込まれていく。応援席へ駆け寄り喜びを爆発させる岡山学芸館イレブン。走り続けた男に最高のゴールが生まれた。


残り時間、東山は何度もボールを岡山学芸館ゴール前へ運ぶも、無常にもタイムアップの笛は吹かれる。岡山学芸館が、選手権5度目の出場で初の選手権制覇を成し遂げた。




東山高校 DF新谷陸斗 写真:Getty Images

まだまだ続くサッカー人生


敗れた東山のサッカーも素晴らしかった。攻撃と守備のバランスが良く、そのチームを主将DF新谷がまとめた。自身のオウンゴールで先制点を許したDF新谷。並みの選手であれば、失点後はミスを恐れてプレーが消極的になる。しかし新谷はそんなプレーを一切見せず、冷静にボールを繋ぎ、岡山学芸館の攻撃を何度も止めた。


試合後のミックスゾーンで「東山は決勝に来たことがなかったし、歴史を作れたことを誇りに思う。先輩方が作ってくれた歴史に名を刻めたと思うし、負けたことは悔しいけど誇りに思いたい」と話した新谷。彼のサッカーはこれからも続く。

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