2022年は『1戦のみ参戦』は禁止。輸送面と富士のピット数により39台が「最大限」とWEC代表
1月12日に年間エントリーリストを発表したWEC世界耐久選手権だが、2022年シーズンは1戦のみのエントリーを受け入れないことが明らかになった。
WECのCEO、フレデリック・ルキアンは記者団に対し、ロジスティック(輸送)の要因を考慮すると39台というエントリーは「我々ができる最大限」だとし、それを超える台数では重大な問題が引き起こされるだろうと語っている。
以前のシーズンでは、レース・バイ・レースのエントリーが認められていた。
2021年は、コルベット・レーシングとGドライブ・レーシング(2022年はどちらもフル参戦する)、PR1/マティアセン・モータースポーツが、第4戦ル・マンに備えるため、第3戦モンツァ6時間レースでグリッドに加わっていた。
また、リナルディ・レーシング、リシ・コンペティツィオーネ、インセプション・レーシングも、同様の理由からモンツァ戦にエントリーしていた。
2022年の“ワン・オフ参戦禁止”ルールはル・マン以外の通常のWEC戦に適用されるものだが、すべてのWEC年間エントリーがル・マンには出場可能であることを考えれば、残るル・マンのグリッドスペースも非常にタイトなものとなる。
「ル・マン24時間レースでは、ル・マン24時間レースの選考委員会が存在するため、まったく状況は異なる」とルキアンは述べている。
「我々にはル・マンに62のグリッドがあり、そのうち39台はWECの車両となる。ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、そしてアジアン・ル・マン・シリーズからも、いくつかのエントリーが(ル・マンには)ある。これが意味することは、“マーケット”に出回るエントリーの数は非常に少ないということであり、誰がこのエントリーを取得できるかは選考委員会が決定するということである」
「(ル・マン以外の)WECにおいては、レース・バイ・レースでの追加エントリーを受け付けないことを確認した」
■ピットが足りない富士スピードウェイでは仮設ガレージ設置も検討
これまでのWECで最大数となるフルシーズンのエントリー台数は、一部のピットレーン、とくにエントリー数が利用可能なピットガレージの数を超えることになる富士スピードウェイにおいて、絞り込みが生じることを意味する。富士スピードウェイのピットビルA棟のガレージ数は、34庫となっている(B棟は11庫)。
ルキアンは、仮設ピットガレージの設置を含む、日本でのレースのための特別な措置を検討していると認めた。
別のオプションとしては、同一チームに所属する一部の車両が、ひとつのピットボックスと給油装置を共有することが挙げられる。
WECは以前、すべてのLMGTEアマクラスのチームに2台体制を義務づけ、レースウイークには1台ぶんのピットボックスと給油装置を使用するというルールの導入を検討していた。しかしこの案は、チーム間の投票にかけられた結果、80%という過半数によって否決されている。
「39台のクルマで向かう富士のレースは、今シーズン最もトリッキーなラウンドのひとつになる可能性がある」とルキアンは語った。
「まず、今季のエントリー数は39だが、39台の車両が同時にコース上にいることはほとんどないだろう」
「我々はクレイジーなわけではなく、ACOのピエール・フィヨン会長、私の周りの人々、そしてすべてのチームとの、非常に真剣な内部ディスカッションがなされた」
「(参戦を希望する)全チームを受け入れるのはたやすいことだが、それはFIA世界選手権としては良くないことでもある。したがって、39というのは妥当な数字だ」
「富士については、LMGTEとLMP2のいくつかのチームと、ガレージを共有する可能性についての話し合いをした。おそらくいくつかの特定のコースでそれが必要になるが、我々はそれをうまい具合に調整できるはずだ」
「エントリーを増やすために、何かを犠牲にしたくはない。39という数字は、優れたロジスティクスとスポーティングの面で、実行可能な最大値だ。これ以上は不可能だ」
「なお、1レースだけ参戦するクルマ、1レースだけの追加エントリーは受け付けない。我々は、それを受け入れることができない」
WECの選考委員会が受け取ったエントリー申請の数は、用意が可能なグリッド数を超えていたが、どれだけの数のエントリー申請が却下されたかについて、ルキアンはコメントを避けた。
「それは、簡単な仕事ではない」とルキアン。
「傲慢に聞こえてほしくはないが、これは(シリーズにとっては)良い問題だと思う。我々は39台を選出するという決定を下した。これは、スポーティング、ロジスティック、およびさまざまな観点から、合理的な台数のエントリーを維持するための決定だった」
「確かに、我々は39をはるかに超える申請を受け取った。だが、これについては明らかにしないことにしている」
ルキアンはまた、チャンピオンシップの“目標”は、ピットガレージの数が問題となる富士などのトラックにおいて、ガレージを共有するようチームに依頼する必要をなくすことである、と述べている。
いくつかのチームが1台のガレージに2台の車両を収容し、ピット前のボックスと給油装置を共有する際、戦術面での影響を与える可能性を取り除くことができない。
「それを受け入れるチームもあるかもしれない、と私は言っている」とルキアンは語っている。
「我々は(2021年最終戦の)バーレーンでこの議論をした。40台以上のクルマを受け入れることができる可能性があるなら、それはGTEアマでガレージを共有することだ。だが、戦略的な部分の問題があるため、それはしないことにした。我々の目標は、その状況(ピットガレージの共有)を避けることだ」
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