【連載解説】2021年F1新技術レギュレーション(4)パワーユニットの開発制限
次世代F1マシン導入を前にし、2021年には昨年型のシャシーが持ち越され、開発が厳しく制限される。そのための規定を含め、技術レギュレーションにはいくつか重要な変更がなされた。その主な変更点を全4回にわたって紹介していく。第4回では、パワーユニット(PU/エンジン)関連の規則変更についてまとめた。
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パワーユニットに関しては、ICE(エンジン本体)、ターボコンプレッサー、MGU-H、さらに燃料と潤滑油に関しては、昨年型からのアップデートが1回だけ許可されている。一方でMGU-K、バッテリー、電子制御ユニットは、去年改良を行っていなければ、今年中にアップデートを1回行うことが可能だ。
常識的に考えれば、多くのメーカーが改良型PUを開幕戦に投入することになるだろう。そして一度実戦投入されたが最後、シーズン中の改良は許されない。去年もシーズン中のアップデートは禁じられ、そのためPUの戦闘力が極端に劣っていたフェラーリは、最終戦まで大きなハンデキャップを抱えることになった。
今季もシーズン中の改良ができないだけに、同じような失敗を繰り返す恐れはフェラーリに限らずどのメーカーにもあると言える。フェラーリとホンダはメルセデスとの遅れを取り戻すべく、かなりの改良を加えていると聞く。それがどこまで功を奏するか、開幕戦の注目ポイントの一つとなるだろう。
またパワーユニットの最低重量は、去年までの145kgから150kgに増やされた。特殊材料を使用した軽量化競争を防ぐことが目的だ。さらにターボのウェイストゲートおよび排出パイプは今季から外すことができる。
■2021年レギュレーションから見えてくること
今季の技術変更点をこうして見渡してみると、基本的には2020年型マシンを使い回し、改良が許される部分もごく限られているということがよく理解できると思う。そこからは、二つの予想が導き出される。
まずチーム間の去年の力関係は、おそらく激変することはないということ。そしてもうひとつの予想は、チームの開発部門がかなり早いタイミングで来季型マシンの開発に移行するということだ。
2022年は車体もタイヤも大きく変わる。今季型マシンで得られたデータはおそらくほとんど何の役にも立たないし、来季型の開発に1日でも早く切り替えたいと、どのチームも思っていることだろう。
今季はマシン開発者にとって、いわば過渡期の1年ということである。
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