ガーデニング休暇にひねりを加えたメルセデス。ロイック・セラのフェラーリ加入は10月中旬以降に
フェラーリは、メルセデスF1チームでパフォーマンスディレクターを務めてきたロイック・セラと一緒に仕事をするために10月中旬まで待たなければならないようだ。
このフランス人エンジニアは2023年4月に離職する旨を申し出たが、現在もメルセデスで活動している。また、ドイツチームで働くのをやめることが認められた後、6カ月間のガーデニング休暇を取らなければならない。フェラーリへの合流がシーズン終盤になるのはこのためだ。
ガーデニング休暇はF1では一般的に行われている習慣であり、ある日重要なスタッフを失ったチームから、最新の開発状況や技術的な知識が即時別のチームに渡ることを抑止する目的がある。
そのため上級エンジニアの契約にはガーデニング休暇条項が追加されるのが一般的となっている。それらは通常は6カ月間だが、近年ではメルセデスやレッドブル、フェラーリなどのチームが、もっとも貴重なスタッフのために18カ月もののガーデニング期間を課している。
今回、メルセデスはこの種の条項に“ひねり”を加えていることが明らかになった。フレデリック・バスールがフェラーリF1のチーム代表に就いた際、最初に引き抜いたビッグネームであったセラは、昨年4月中旬にトト・ウォルフに退職届を提出した。しかし、彼はいまだにブラックリーで業務にあたっている。なぜなら、彼の契約条件にはチームを離れる1年前にその旨を通知し、離職後6カ月間のガーデニング休暇を経て他チームに移ることが定められているためだ。
これはセラのプロ意識と誠実さをメルセデスが非常に高く買っていることを示す証左だ。実際ドイツのメーカーは、2024年型マシン『W15』の設計と開発中に彼を開発チームに引き入れ、完全なかたちで業務に携わらせていた。
もちろん、これにはリスクがともなう。彼が昨年4月以来に取得したほとんどの知識がスクーデリアに渡ることは避けられないだろう。しかしウォルフとテクニカルディレクターのジェームズ・アリソンは、メルセデスが新しいクルマを設計するうえでセラの知見によって受けるメリットが、6カ月後にフェラーリに渡るすべてのノウハウによって失われるものよりも多いと主張している。
一方のバスールは、セラをシーズンの半ばまでにチームに迎えることを期待していた。それが可能であれば、セラが来年のクルマのデザインに重要な貢献をすることができるためだ。しかし今では戦略が変わり、フランス人エンジニアの最初の仕事は、まったく新しいテクニカルレギュレーションの下で製作する必要のある2026年型シャシーの設計と開発にフォーカスされている。
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