【津川哲夫のF1新車チェック】英国系チームと一線を画す美しさと個性。最先端を進むフェラーリSF71H
AUTOSPORT web2018年2月26日(月)11時53分
近年のF1はどのマシンも同じような形をしていて個性が少なく、同じ色を塗ればどのチームのマシンか区別がつかなくなる……などと、ついこの間まで語られていたことだが、どっこい昨年、そして今シーズンのマシンを見てもらいたい。そんな意見は、ガラガラと音を立てて崩れ去るはずだ。
昨年に引き続き、今季もこれまで発表されてきた多くのマシンたちはそれぞれ確固たる個性を光らせている。そしてもちろん、今年もそのリーダーシップを取るのがフェラーリのSF71Hだ。
フロアフロントとサイドポッド周りだけでも、フェラーリ以外の何物でもない強い個性を輝かせている。これぞまさに、フェラーリエアロの神髄だ。
もちろん、このエアロ処理がどのように働くのかは、実際に走り出してみなければわからないが、独自の主張を貫くアグレッシブなトライはF1を画一化しようとする風潮に真正面から対峙し、実にF1的で好ましい。これぞ、フェラーリ・デザイン。
エアロはとにかく個性的だ。SF71Hのサイドポッドの過激な攻め込みの中に、実はシンプルで滑らかな造形が隠れているのがうれしい限りだ。本来、醜いとされていたハロでさえ、フェラーリバッジをセンターに配置し、フェラーリ・スカーレットと黒を基調にしたカラースキームを採用するなど、まったく醜さを感じさせない芸術的な造形へと昇華しているではないか。
現在のフェラーリ・エンジニアリングは、その感性の部分で理論と性能追求だけで美しさを省みない英国系マシン群とは一線を画している……もちろん、それが性能を左右する訳ではないのだが、『人間の感性が働いてこそ、はじめてレースもそしてマシンも存在の意味をなす』とは、筆者の独断と偏見だ。
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