シボレー移籍わずか2戦目で“宿願”達成。RCRのカイル・ブッシュが今季初優勝/NASCAR第2戦
2023年NASCARカップシリーズの第2戦『パラ・カジノ400』が2月24〜26日の週末に開催され、今季よりシボレー陣営に移籍したカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が早くも初優勝。L.Aでのエキシビジョン、そして伝統の開幕戦『デイトナ500』に続き、実質3回目のスタートで“宿願”を達成する強さをみせ、自身にとっても19年連続のシーズン勝利となった。
カリフォルニア州はフォンタナに位置するオートクラブ・スピードウェイを舞台とした第2戦は、これが“2マイル・オーバル”改修前最後の1戦とあって、決勝での『5ワイド&ドラフティング合戦』も見納めに。今後のコース短縮でそうした自由度の高い勝負は不可能となる公算が高いだけに、ドライバーからも“オールドコース”の喪失を惜しむ声が聴かれた。
そんな貴重な走行機会をさらに削るかのように、プラクティスを経た土曜には西海岸に何日も降り続いた大雨が悪さをし、季節外れの“スノー・ストーム”を召喚。この日のトラック上ではカップシリーズのすべての活動がキャンセルされ、併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ決勝も日曜カップ戦後へと延期された。
この結果、前戦の着順や最速ラップの平均、さらにチームのポイントなどの指標により、クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がポールポジションに収まり、開幕勝者リッキー・ステンハウスJr.(JTGドアティ・レーシング/シボレー・カマロ)がフロントロウに。その背後に王者ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)とアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が並ぶ布陣となった。
迎えた日曜は無事に決勝スタートが切られると、序盤から主導権を握ったのはロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)で、僚友のダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)やライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らを従えステージ1を制覇。そのままロガーノらに相手を変え、ステージ2でも連続勝利を飾っていく。
一方、最初のステージ43周目にスピード違反のペナルティを取られていたブッシュは、猛烈な挽回で11番手まで回復すると、続くステージではチャスティンの背後2番手にまでカムバックしてくる。
最終ステージ残り34周でチャステインを追い詰めたブッシュの8号車カマロZL1は、ターン2でリードを奪った後も力強いラップでポジションを堅持。両者最後のピットストップを経ても、レイトストップ戦略で前をいくマイケル・マクドウェル(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)から残り21周でトップの座を取り戻す。
■歴代最多記録を更新のブッシュ、所属チームすべての勝利記録も樹立
リチャード・チルドレス・レーシングとしても前戦デイトナでは最終局面のリスタート時点で、オースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)とともに最前列を走りながら勝利の機会を逸していただけに、この日の最多リードラップ91周を記録したチャスティンを仕留め、移籍直後のブッシュがオートクラブでの5勝目、キャリア通算61勝目を手にする雪辱のフィニッシュとなった。
「もしかしたら、先週だったはずだよな?」と、まさに獲り逃した勝利をすぐさま奪回したブッシュ。「本当に驚異的だ。リチャード(・チルドレス代表)とジュディ(・チルドレス)には感謝してもしきれないくらいだ。オースティン(・ディロン)も僕に電話をくれ、ここRCRに来てシボレーの一員になるよう勧めてくれた。今日、この“ルーカスオイル”カマロとレースをする機会を与えてくれたみんなに心から感謝したい」と、殊勝な言葉を続けたブッシュ。
これで19年連続勝利を収め、リチャード・ペティと並んでいた歴代最多記録を更新したブッシュは、そのキャリアを通じてカップ戦で所属したヘンドリック・モータースポーツ/ジョー・ギブス・レーシング/リチャード・チルドレス・レーシングの3チームすべてで勝利を収めるという記録も打ち立てた。
「それが上位にランクされている理由は『俺にはできる』という事実を語っているだけさ」と、いつもの調子を取り戻したカップ“2冠”の大ベテラン。「自分自身を疑ったことはないが、ときどきは自分から降りて、何が起こっているのかを疑問に思い、別の状況に身を置くことで、ふたたびここへ来て仲間に報酬を与えることができるんだ。俺だっていつも勝っているわけじゃないが、それは誰だって一緒さ」
背後では、ホワイトフラッグでチャスティンを逆転したチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が2位に入り、スアレスが僚友に次ぐ4位。そして5位には、これが通算750戦目となった今季限りでの勇退を表明しているケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が続くトップ5となった。
一方でポール発進だったベルを含むトヨタ陣営は、開幕前エキシビジョン覇者のマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がピット作業後に左フロントタイヤが脱落、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)やタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)らは、ベルとともに中盤リスタートでの“ビッグワン”に巻き込まれるなど、不運の連鎖に見舞われた。
その鬱憤を晴らすかのように、日曜最後の開催となったエクスフィニティ・シリーズ第2戦『プロダクション・アライアンス・グループ300』は、ジョン・ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)の20号車が勝利を飾っている。
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