「スプリット」から「サークル」への握り変更 新たな試みからものぞく菊池雄星の余裕と可能性
菊池は開幕に向け順調に調整を続けている(C)Getty Images
ブルージェイズの菊池雄星がさらなる進化を予感させた。現地2月26日(日本時間27日)、今春オープン戦初登板となったパイレーツ戦に先発。2回1安打無失点、3三振で無四球とほぼ完璧な内容で好発進した。
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速球は最速で95マイル(約153キロ)を計測した。そしてそれ以上に効果的だったのがチェンジアップだった。1回1死二塁で、デービーズをチェンジアップで一邪飛に。2回1死ではディレイの外角低めに沈めて空振り三振と、狙い通りに右打者を手玉に取った。
「この余裕こそが、昨春の彼にはなかったものだ」
MLB公式サイトは菊池のチャレンジをそう指摘した。同サイトによれば、菊池のチェンジアップの握りは昨季までは人さし指と中指で挟むスプリットチェンジだったが、今春は親指と人さし指で輪っかをつくるサークルチェンジへ変更しているという。今春はチェンジアップをテーマとして集中して投げ込み、それが初実戦でいきなり威力を証明した。
昨春の菊池は結果を残し、開幕ローテーションを勝ち取らなければならない立場だった。オープン戦で必死に結果を積み重ね、その座をつかみ、レギュラーシーズンでは32試合で11勝6敗、防御率3.86。初めて規定投球回に達し、キャリア最高の成績を残した。
今春はこれまでとは異なり、その座が保証された立場。同サイトは「キクチの日は、今やおびえる必要がなくなった。冬に凍った池の上を歩く際に、氷の厚さが分からないまま、つま先立ちで試合に臨む必要はもうない」と独特の表現で菊池への信頼を強調した。
ジョン・シュナイダー監督も同サイトの取材に「去年も、おととしも、何よりも結果を求めていた。今年はチームが彼に期待をしている。それが最大の違いだよ」と寄せる期待の大きさを口にした。
オフシーズンの各選手の過ごし方について、どの選手が良い状態でキャンプに参加されたかと問われると、真っ先に菊池の名前を口にした。1月6日という異例の早さでフロリダ州ダンイーデンのキャンプ地に入り、黙々とトレーニングを重ねてきた。
今年6月に33歳を迎えるが、まさに脂が乗りきりキャリア最高のシーズンを迎えようとしている。同サイトの取材に「昨年が良かったからといって、今年が良いとは限らない。まだやるべきことがあると思っているし、今年はもっとよくなれると考えている」と答えた菊池。昨年をさらに上回るキャリアハイへの予感を、自身も周囲も感じ取っている様子だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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