ヤマハからホンダへ。新天地で2度目のJSB1000王者を狙う野左根航汰/全日本ロード 鈴鹿2&4 事前テスト
2020年に全日本ロードレース選手権JSB1000クラスでチャンピオンを獲得。2021年、2022年はスーパーバイク世界選手権(WorldSBK)、2023年はMoto2を戦い、4年振りにJSB1000クラスに戻ってくる野左根航汰。それも長年在籍したヤマハではなく、Astemo Honda Dream SI Racingに移籍。マシンはもちろんホンダCBR1000RR-Rとなる。
「長年お世話になったヤマハに残る話をしていたのですが、条件面で合わない部分があったので離れることになり、12月に入ってから伊藤(真一)監督にアポイントを取って、Astemo Honda Dream SI Racingで全日本JSB1000クラスを走れることが決まったのが年末でした」と野左根。
「それからバタバタといろいろなことがあり、年明けに正式発表されました。今年は例年より1カ月も開幕が早いこともあり慌ただしかったですね。ヤマハとは円満に契約を終えることができたので、今回の鈴鹿テストでも普通に会話していただいています」
2月中旬に岡山国際サーキットで去年型のホンダCBR1000RR-Rを初ライド。意外に普通に乗ることができていたため、新型をシェイクダウンする鈴鹿テストでも、それほど心配はしていなかったのだが……。
「初日の午前は電気系トラブルがあって、午後は走ることができたのですが、岡山で乗った去年型との違いに戸惑いました。鈴鹿を走るのも4年振り、鈴鹿でCBR1000RR-Rに乗るのも初めてだったので手探り状態からのスタートでした。ましてや2024年モデルのシェイクダウンだったので、データもないですし、コンディションも寒かったので慎重に走らざるを得ませんでした」
さらに寒くなったテスト2日目は、1本目に130Rで転倒を喫してしまう。ブレーキングに入ったところでグリップを失い、スポンジバリアまですべっていった。
「寒さもありましたし、なかなか新型に対応できずにいたところ130Rでクラッシュしてしまいました。300km/hからの転倒だったので、すごい衝撃でしたが怪我がなかったのが不幸中の幸いでした。ただ、マシンは大破してしまったので、チームに申し訳ない気持ちでいっぱいです」
チームは急きょ、走らせる予定ではなかった去年型のマシンを準備し、2本目のセッション終盤に何とか間に合わせた。野左根は、計測3周ほどしかできなかったが、手応えはあったと言う。
「去年型は、(水野)涼が乗ったマシンなので、熟成されている状態で、乗りやすい部分、そうではない部分がありました。転倒で時間を失ってしまいましたが、去年型を乗ることができたのは、ホンダCBR1000RR-Rを理解するのに、いい経験になったと思います。エンジンパワーはありますし、その出力特性もコーナリングの仕方もヤマハとは違うのが分かってきました。チームと共に、いいバイクに仕上げて、レースを戦える状態にして開幕戦に挑みたいですね」
3年間の世界チャレンジでは、うまく結果は残すことができなかった野左根だったが、まだ28歳。レーシングライダーとして30歳前後は、脂が乗っている年齢とも言える。世界で味わった悔しさを新天地で晴らしたいところだ。
「チームの雰囲気はいいですし、久しぶりに日本人のメカニックとできるので、作業もしやすいです。起用してくださった伊藤監督に結果で恩返しできるように結果につなげていきたいですね」
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