トロロッソ・ホンダ密着2日目:さらなるポテンシャルを感じる5番手タイム。中団グループで戦える手応え
バルセロナ合同テスト2回目2日目のセッション終了間際となった午後5時54分、トロロッソ・ホンダが今年初めてその本気の片鱗を見せた。
ブレンドン・ハートリーがハイパーソフトを履きタイムアタックへ。その計測1周目でこの日の5番手となる1分19秒823を記録した。
さらにチャージラップを挟んで2周目の計測へ進もうとした矢先、ザウバーがコースオフして赤旗となり、ハートリーのアタックはここで終了した。
「赤旗が出てしまったせいで1周しか走ることができなかったのは残念だけど、グリップは素晴らしいしどのドライバーもこのタイヤを履いた後は笑顔だよね。赤旗がなければ計測2周目には間違いなくさらにタイムを縮められていたはずだ」
今回のバルセロナでは路面が再舗装され、路面の粗さとタイヤに対する負荷が減ってグリップが高いというタイヤの弱点が出にくいサーフェスになったため、ミディアムやソフトでも充分にタイムが出て各コンパウンドのタイム差は小さい。
そのため単純な比較は難しいが、朝9時37分という早い時間帯の記録とはいえフェルナンド・アロンソがハイパーソフトで計測1周目に1分20秒320、そして計測2周目に1分19秒856まで約0.5秒縮めていることを見ると、ハートリーも1分19秒3くらいまではいけたはずだ(ただしアロンソは12周ランで記録したもの)。
しかしトロロッソにとってもこれは本格的な予選シミュレーションではなく、あくまでハイパーソフトタイヤの感触を確かめるための走行だった。前日のピエール・ガスリーが訴えた通り、柔らかいタイヤは使い方に“クセ”があるからだ。
ホンダの田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクターは、パワーユニット側も本格的な予選モードは使っていなかったと語る。
「路面温度も下がっていましたが、あれはタイヤテストの一環として走ったもので、今日はまだ予選モードは使っていません。いわゆる通常のレースモードでの走行です」
つまり、タイヤの面でもパワーユニットの面でも、この日の5番手というタイムにはまだまだ伸びしろがあるということだ。
田辺テクニカルディレクターは「ライバルが何をやっているのか分からないのでまだ何とも言えません」と慎重な姿勢を崩さないが、ハートリーは少なくとも大接戦の中団グループの中で戦えるという手応えは掴んだようだ。
「まだはっきりとしたことまでは分からないけど、僕らが中団グループのどこかにいることは確かだし、その争いの中に加わることができているよ」
この日、午前中は車高やマシンバランスをかなり大きく振って挙動を確かめるテスト。マシン挙動がトリッキーでドライビングが難しかったというハートリーは何度かスピンを喫したが、マシンを壊すようなミスは犯さなかった。
ランチブレイクを挟み午後は重めの燃料とミディアムタイヤでレース想定のロングランを行なう予定だったが、ピット出口でスタート練習をしようとしたところ発進できず、ハートリーはレースエンジニアからの指示でエンジンを切りメカニックにガレージまで押し戻された。
この原因究明に40分を要してしまったが、センサーのエラーというマイナートラブルだったことが分かり、コースに復帰してからは再び順調に走行を重ねた。
車体側同様、パワーユニット側のテストプログラムも前日の午後を失った分は充分に取り戻すことができたと田辺テクニカルディレクターは語る。
「午前中のトリッキーなマシン挙動でもドライバーからはパワーユニットのドライバビリティに関しては問題ないというコメントでしたし、午後の走行でも昨日に引き続き様々な状況を想定したパワーユニットの挙動確認をして、今日やりたかったことは全てこなすことができました。トータル4日間のプログラムのうち半分はこなせたというところです」
開幕までに残るテストはわずか2日。そこで求められるのは予選パフォーマンスもさることながら、ホンダが最優先に据えているのはきちんとした信頼性を確保することだ。
「レース週末全体を想定した確認を行なうことと、残り2日間はそれぞれ150周ずつくらい走り込んでこの4日間で車体もパワーユニットも耐久性を充分に確認しておきたいと思っています」(田辺テクニカルディレクター)
1日150周ずつ走行すれば4日間の合計走行距離は2200kmになる。
シーズン開幕に向けた準備はいよいよ大詰めを迎えようとしている。片鱗の見え始めたSTR13のポテンシャルは、この残り2日間でどこまで明らかになるのか。そしてここまでノートラブルできているホンダのパワーユニットは信頼性を証明することができるのか。
超えていくべき2018年最初のハードルは、すぐ目の前まで迫ってきている。
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