早くも2021年開幕のSTC2000は王者たちの競演。トヨタ、ルノーが勝利を分け合う
2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響を受け、度重なるスケジュール変更により年またぎの2020-21シーズンとして開催されたスーパーTC2000(STC2000)が、2月に開催された最終戦の余韻も残るなか早くも開幕戦を迎えた。土曜クオリファイレースでは、自身5冠を達成したばかりの王者マティアス・ロッシ(トヨタ・カローラSTC2000)が幸先よく制すると、日曜フィーチャーレースはタイトル奪還を期す2019年王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスG)が勝利を挙げ、王者経験者たちの競演となった。
先月の2020-21年シリーズ最終戦から約1カ月と超短期のオフシーズンを経て開幕を迎えたSTC2000は、この3月13〜14日に続き第2戦を3月20〜21日の連戦とし、第3戦以降の開催地は未定ながら、首都ブエノスアイレス近郊に位置する元F1トラック、オスカー・ファン・ガルベスでのバック・トゥ・バック戦が組まれている。
そんな慌ただしい期間中にもドライバー市場は大きな動きを見せ、目玉は2017-18年シリーズ連覇のファクンド・アルドゥソによる移籍劇。長年在籍したRenault Sport Castrol Team(ルノースポール・カストロール・チーム)を離れて、4台体制で挑むPuma Energy Honda Racing(プーマ・エナジー・ホンダ・レーシング)に加入し、ホンダ系ファクトリーチームを運営するRAM Racing Factory(RAMレーシング・ファクトリー)の牽引役としてシビックSTC2000をドライブすることに。
引き続き、2020年チャンピオンチームのエースを務めるロッシを筆頭に、FFツーリングカー2年目のシーズンを迎える元跳ね馬ドライバーのルーベンス・バリチェロと、シリーズ随一のスピードを誇るジュリアン・サンテロ、そしてフランコ・ヴィヴィアンのラインアップで挑むTOYOTA GAZOO Racing YPF INFINIA(トヨタ・ガズー・レーシング・YPFインフィニア)に挑む構図となった。
そんななか土曜の予選レースから速さを見せたのは、新カラーリングにお色直しを受けたトヨタ・カローラSTC2000勢で、ペーニャとの1コーナー争いを制したロッシがそのまま主導権を握る展開に。
■今季から採用のプッシュ・トゥ・パスによる応酬が展開
Chevrolet YPF Team(シボレーYPFチーム)のアグスティン・カナピノ、ベルナルド・レイバー(シボレーYPFクルーズ)ともにパンクで戦線離脱の憂き目に遭うのを尻目にリードを広げ、ロッシ、ペーニャ、そしてサンテロの順位でチェッカー。4位にはルノー・スポール・カストロール・チーム新加入のダミアン・フィネンチ(ルノー・フルーエンスG)が入り、バリチェロのカローラが続くトップ5となった。
明けた日曜午前の計時予選でもトヨタvsルノーの構図は変わらず、今度はトヨタの“スピードスター”ことサンテロがポールポジションを獲得。ルノーのペーニャもフロントロウを死守し、3番手に予選自己最上位のバリチェロ、4番手に雪辱を期すシボレーのレイバー、そして5番グリッドにホンダ陣営加入のTCR経験者、ホセ-マニュエル・サパーグ(ホンダ・シビックSTC2000)が続いた。
40分+1ラップで正午にスタートが切られたフィーチャーレースは、土曜のお返しとばかりに蹴り出しで勝ったルノーのペーニャがホールショット。カローラの鼻先を抑えて首位で1コーナーに入っていく。
その後方では、前日のパンクで17番グリッドからの勝負を強いられた2016年王者カナピノのシボレーが、2021年から運用開始となった“プッシュ・トゥ・パス”を使用し追撃を開始。すぐに11番手へと進出する。
これで全ドライバーが一定時間、40PSのエクストラーパワーを得られる9回のチャンスがアクティブになると、トヨタのヴィヴィアンやホンダのファビアン・シャナントゥオーニらが積極的に活用を見せ、集団バトルを繰り広げる。
一方、首位争いを展開するペーニャとロッシも、追いすがるカローラに対しルノーがプッシュ・トゥ・パスの追加ブーストで応戦し、オーバーテイクを許さず。2019年チャンピオンはそのまま2番手ロッシ以下、サンテロ、フィネンチ、バリチェロの隊列に2秒強のマージンを維持してフィニッシュラインへ。スタート勝負や新機構の恩恵を存分に活用したペーニャが、前日の悔しさを晴らす今季初勝利を飾った。
一方、終盤にはそのプッシュ・トゥ・パスを使用してトップ10圏内に進出していたシボレーのカナピノは、ホンダ移籍のアルドゥソも仕留めて8番手にまで上がっていたものの、次戦に向け「ポイントを獲得したすべてのドライバーには、次のラウンドでグリッドペナルティが与えられる」とのスポーティング規則を嫌って自らドロップバック。次週の第2戦を有利に進める戦略的判断を下している。
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