順風満帆ではなかった道のり…町田浩樹が手にした確かな自信/AFC U-23選手権予選
サッカーキング2019年3月23日(土)18時7分
マカオ戦にフル出場した町田浩樹 [写真]=佐藤博之
22日に行われたAFC U-23選手権予選(東京五輪1次予選)、日本は初戦でマカオと対戦。前半を0-0で折り返す大苦戦となった試合を救ったのは、満を持してこのチームに帰ってきた男だった。
51分、CKから頭で合わせたのはDF町田浩樹(鹿島アントラーズ)。「高さで勝てていたので、走り込むのではなく『せーの!』で跳ぶイメージだった」という想定通りのヘディングシュートを見事に突き刺し、均衡し続けていた試合を動かしてみせた。
こうして代表選手として活躍を見せるに至るまでの町田の道のりは決して平坦ではなかった。順風の後、突然の大波に呑まれるような流れである。
ユースから昇格して初年度、ナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)でデビューを果たし、2年目の5月にはリーグ戦で初先発を果たした。代表級のDFがひしめく鹿島にあって確実に存在感を高めていく流れだったが、このあとに右ヒザ前十字靭帯を損傷し、全治半年の診断を受けることとなる。この負傷は、直後に予定されていたU-20W杯出場の可能性が消えることをも意味していた。
運に見放されたとしか思えない流れだったが、「この期間を無駄にしないように、今度は負傷しない体を作ることも考えてやってきた」というリハビリとトレーニングに取り組んできた。
「いろいろな方向から体を変えようとやってきた。体をより簡単に動かせるように、一本歯下駄を使ったトレーニングとかもやりました。デカい選手だとどうしても体を動かす部分が悪くなるので、そこを変えることも意識しながら、同時に筋トレもずっとやってきて成果は感じています」(町田)
実際、取り組んできた成果で体付きも一回りガッシリしてきており、「リーグ戦でも球際や対人で負けなくなった」と確かな自信も手にした。その流れでの代表復帰だけに、「ずっと鹿島でやってきたことがここに結びついた」という感慨もあったようだ。
約2年ぶりの復帰となったが、同部屋となった遠藤渓太(横浜F・マリノス)を含め、かつて代表で汗を流していた戦友たちも多いラインナップ。「すごく久しぶりだったのでどうだろうと思っていたけれど、変わらないメンツも多くてやりやすかった」と、すぐにチームへとフィットしてみせている。
若干の不安要素だったのは「鹿島では4バックしかやらないので」という五輪代表の採用している3バックシステムへの適応だったが、これについても「すごく面白いし、自分の幅を広げられるチャレンジ。(3バックの左DFは)左利きの自分を活かせるポジションでもある」と前向きに解釈。マカオ戦でも「ちょっと内側にポジションを取ったり、いろいろと試行錯誤してやっている」と意欲的な取り組みも見せた。これについては左サイドでコンビを組んだ遠藤も「インナーラップ(大外の選手を内側から追い越すプレー)を仕掛けてくれたり、いろいろやってくれるのでやりやすい」とポジティブだった。
もちろん、「これで満足ということはない」のは大前提。ただ、まさかの形で世界舞台目前に戦列を離れてしまった男にとって、この日のパフォーマンスが特別な意味を持つのも間違いない。「自分にとって大きい」と振り返った印象的なゴールを含め、東京五輪に向けて「町田浩樹」の名前を確かに意識させる大切な90分間となった。
取材・文=川端暁彦
51分、CKから頭で合わせたのはDF町田浩樹(鹿島アントラーズ)。「高さで勝てていたので、走り込むのではなく『せーの!』で跳ぶイメージだった」という想定通りのヘディングシュートを見事に突き刺し、均衡し続けていた試合を動かしてみせた。
こうして代表選手として活躍を見せるに至るまでの町田の道のりは決して平坦ではなかった。順風の後、突然の大波に呑まれるような流れである。
ユースから昇格して初年度、ナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)でデビューを果たし、2年目の5月にはリーグ戦で初先発を果たした。代表級のDFがひしめく鹿島にあって確実に存在感を高めていく流れだったが、このあとに右ヒザ前十字靭帯を損傷し、全治半年の診断を受けることとなる。この負傷は、直後に予定されていたU-20W杯出場の可能性が消えることをも意味していた。
運に見放されたとしか思えない流れだったが、「この期間を無駄にしないように、今度は負傷しない体を作ることも考えてやってきた」というリハビリとトレーニングに取り組んできた。
「いろいろな方向から体を変えようとやってきた。体をより簡単に動かせるように、一本歯下駄を使ったトレーニングとかもやりました。デカい選手だとどうしても体を動かす部分が悪くなるので、そこを変えることも意識しながら、同時に筋トレもずっとやってきて成果は感じています」(町田)
実際、取り組んできた成果で体付きも一回りガッシリしてきており、「リーグ戦でも球際や対人で負けなくなった」と確かな自信も手にした。その流れでの代表復帰だけに、「ずっと鹿島でやってきたことがここに結びついた」という感慨もあったようだ。
約2年ぶりの復帰となったが、同部屋となった遠藤渓太(横浜F・マリノス)を含め、かつて代表で汗を流していた戦友たちも多いラインナップ。「すごく久しぶりだったのでどうだろうと思っていたけれど、変わらないメンツも多くてやりやすかった」と、すぐにチームへとフィットしてみせている。
若干の不安要素だったのは「鹿島では4バックしかやらないので」という五輪代表の採用している3バックシステムへの適応だったが、これについても「すごく面白いし、自分の幅を広げられるチャレンジ。(3バックの左DFは)左利きの自分を活かせるポジションでもある」と前向きに解釈。マカオ戦でも「ちょっと内側にポジションを取ったり、いろいろと試行錯誤してやっている」と意欲的な取り組みも見せた。これについては左サイドでコンビを組んだ遠藤も「インナーラップ(大外の選手を内側から追い越すプレー)を仕掛けてくれたり、いろいろやってくれるのでやりやすい」とポジティブだった。
もちろん、「これで満足ということはない」のは大前提。ただ、まさかの形で世界舞台目前に戦列を離れてしまった男にとって、この日のパフォーマンスが特別な意味を持つのも間違いない。「自分にとって大きい」と振り返った印象的なゴールを含め、東京五輪に向けて「町田浩樹」の名前を確かに意識させる大切な90分間となった。
取材・文=川端暁彦
(C) SOCCERKING All rights reserved.
「AFC」をもっと詳しく
「AFC」のニュース
-
横浜FM、ACL決勝2ndレグの主審決定か「AFCは不公平」の声も。浦和戦で…5月17日12時12分
-
横浜FMのACL決勝前に…AFCの規定変更が物議「韓国の影響力高まる」「中東有利」5月17日6時42分
-
37歳ジルー、MLSのLAFC加入が正式決定…3年間在籍したミランでは11年ぶりスクデットに貢献5月15日8時15分
-
横浜FM植中朝日を救った水沼宏太の金言とは?「パス出せ」という要求に…5月13日16時55分
-
横浜FM、アジア制覇に王手。敵将クレスポ戦術に対するACL最終戦の課題5月13日14時0分
-
「僕個人よりも、F・マリノスのため」に…宮市亮が誓うアジア制覇での“恩返し”5月13日12時39分
-
「よく反応した!」驚異的な“神の膝ゴール”が炸裂! 渡辺皓太が超反応で横浜FMに歓喜をもたらした瞬間「これぞドラマ」「気持ちで押し込んだ」【ACL決勝】5月12日7時0分
-
ACL決勝第1戦、横浜FMがアジア王者へ大きな勝利! 先制許すも、植中と渡辺のゴールで逆転勝利!5月11日21時2分
-
三菱重工浦和レッズレディースがアジア女王に輝く! 清家貴子&島田芽依の得点で現代製鉄に逆転勝利5月10日20時2分
-
【日本政策金融公庫JAFCO】450名申込!ご好評につきアーカイブ配信決定!日本政策金融公庫による融資限度額7,200万円・無担保・無保証人の融資制度を解説するウェビナーを限定公開5月10日11時46分
スポーツニュースランキング
-
1井上尚弥に止まぬ特大評価 リング誌の“ウシク1位”にメキシコ名伯楽が異論「イノウエはあまり騒がない。それでも十分偉大」 ココカラネクスト
-
2米メディアが選ぶ最高の日本人野球選手トップ10 6位が「道を切り開いた」野茂英雄...大谷翔平は?イチローは?王貞治は? J-CASTニュース
-
3大谷翔平が“史上5人目の快挙”へ! 第1打席に左前打で4試合連続安打 打率「.350」維持なら歴史的記録を達成 ココカラネクスト
-
4批判殺到!どこ投げてんだよ…! 大谷翔平、まさかの盗塁で“異変”が起きた…!? 相手捕手のリアクションがヤバすぎる 「古田さんも思わず苦笑」「さすがに無謀w」 ABEMA TIMES
-
5久保建英、鈴木唯人は国際Aマッチ期間外のパリ五輪出場は不参加へ…山本ND「招集はできないという結論に現状で至っている」 スポーツ報知