サインツ独走でフェラーリが2年ぶりの1-2。王者フェルスタッペンをトラブルが襲う【決勝レポート/F1第3戦】
3月24日、2024年F1第3戦オーストラリアGPの決勝レースが行われ、カルロス・サインツ(フェラーリ)が今季初優勝、F1キャリア3勝目を飾った。2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にランド・ノリス(マクラーレン)が続いた。
角田裕毅(RB)は8位でチェッカーを受け今季初入賞。そして前年王者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はマシントラブルによりリタイアに終わった。
オーストラリア南東部に位置するビクトリア州の州都メルボルン、中心地からも程近いアルバート・パーク・サーキットを舞台に開催された今季3戦目にはローガン・サージェント(ウイリアムズ)を除く19台が出走した。
スタートタイヤは上位グリッドの9台を含む14台がミディアム(C4)を選択。10番グリッドのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、16番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)の2台はハード(C3)をチョイス。
一方、11番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)、18番グリッドのダニエル・リカルド(RB)、そしてピットスタートの周冠宇(キック・ザウバー)の3台はソフト(C5)を装着した。
58周の決勝レースは快晴のもと、気温21度、路面温度39度というコンディションでスタートを迎えた。ポールスタートのフェルスタッペンが好スタートを決め、上位5台はグリッド順でターン1を通過。6番手スタートのペレスがジョージ・ラッセル(メルセデス)に6番手の座を奪われる一方、8番手スタートの角田はランス・ストロール(アストンマーティン)にかわされ9番手に後退する。
2周目、DRSを使用したサインツがターン9でフェルスタッペンをオーバーテイク。その姿を見た観客からは大きな歓声が轟いた。2番手にポジションを下げたフェルスタッペンはクルマの挙動がルーズだと無線で訴える。
その直後、4周目走行中のフェルスタッペンの右リヤから白煙が巻き上がる。フェルスタッペンはスローダウンしピットへ戻り、早々にマシンを降りるというまさかの展開に変わった。
これでサインツ、ノリス、ルクレール、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ラッセルというオーダーとなり、序盤はトップ5にレッドブルの姿がない状況が続いた。トップのサインツは10周目時点で2番手ノリスを3秒引き離すなど、好ペースを維持。3番手ルクレール、4番手ピアストリは10周目にハードタイヤに交換するが、サインツ、ノリスはミディアムのまま周回を続ける。
一方、角田は10周目にハードタイヤに履き替えるが、7周目にピットを終えていたハミルトンにアンダーカットされてしまい、ハミルトンの背中を追う展開へと変わった。
15周目、サインツから8.1秒離された2番手ノリスとペレスがピットイン。ノリスはピアストリに2.5秒先行される。またペレスはハミルトンの眼前でコース復帰となる。トップのサインツは17周目にハードタイヤに交換し、ルクレールの前でコース復帰。その直後、ハミルトンがマシンを止めバーチャル・セーフティカー(VSC)導入となる。
このVSC導入の最中にアロンソがピットに滑り込んだ。ハードタイヤスタートから一時は順位を下げていたアロンソだが、最初のピットストップを終え、フェラーリ、マクラーレンに続く5番手となる。VSC解除後の21周目には、ターン9でペレスがラッセルをかわし6番手に浮上する。
ハードタイヤでスタートしたアロンソは第2スティントでミディアムを装着。しかし、ペースはハードタイヤを履いたペレスが0.5秒弱速く、ピットアウト時点で4秒近くあった差はみるみると縮まり、27周目にはペレスが5番手に浮上する。しかし、この時点で4番手ノリスとは12秒のギャップが開いていた。
トップのサインツが27周目に1分21秒078というこの時点でのファステストを更新する一方、サインツよりも7周早くハードタイヤに変えたルクレールのペースが落ち、28周目の時点で2台の差は5.5秒まで広がっており、サインツが独走状態となる。
一方、ピアストリに対し、ペースの良いノリスにポジションを譲るようマクラーレンから指示が飛ぶ。ピアストリは29周目にポジションを譲り、ノリスが3番手、ピアストリが4番手へと変わる。
35周目、2番手ルクレールがハードタイヤに交換するが、マクラーレン勢はここは静観する。角田は37周目にピットイン、ハードタイヤに履き替え10番手でコース復帰する。角田とポジションを争うストロールは翌38周目にピットに入り、角田の2.5秒前で復帰する。
ピアストリは40周目、ノリスは41周目、そしてサインツは42周目にピットイン。ここでは順位変動はなく、サインツはルクレールの5.5秒前でコース復帰を果たした。上位勢が均衡状態となる最中、44周目にはケビン・マグヌッセン(ハース)がアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を攻略し11番手に浮上する。
これで、8番手ストロールを先頭に、9番手角田、10番手ヒュルケンベルグ、そしてマグヌッセンが入賞をかけた戦いを繰り広げるが、タイヤのデグラデーション(性能劣化)が大きいためか、各車のギャップは徐々に広がった。
サインツがファイナルラップに入った直後、7番手走行中のラッセルがターン6〜7でクラッシュを喫し、VSC導入となる。VSC導入のまま、前戦サウジアラビアGPを欠場したサインツがトップチェッカーを受け、悔しさを跳ね除ける今季初優勝、F1キャリア3勝目を飾り、表彰式では久しぶりにスペイン国歌が鳴り響いた。
2位にルクレールが続き、フェラーリは2022年第1戦バーレーンGP以来2年ぶりのワンツーを飾った。3位にノリスが続き、2023年第16戦シンガポールGP以来となるレッドブル不在の表彰台ともなった。
4位ピアストリ、5位ペレス、6位アロンソ、7位ストロール、8位角田は今季初入賞、9位ヒュルケンベルグ、そして10位にマグヌッセンが続き、小松礼雄チーム代表率いるハースは2台揃ってポイント獲得となった。地元グランプリを迎えたリカルドは12位でチェッカーを受けている。
次戦となる2024年F1第4戦日本GPは4月5〜7日に、三重県の鈴鹿サーキットで開催される。日本GPとしては初となる春開催を迎える鈴鹿では、どのような戦いが繰り広げられるだろうか。
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