「翔平には言えなかった」――水原氏の“哀しい窮状” 大谷翔平のスキャンダルを広めた誰もが知らなかった名通訳の“影”
大谷の資金を利用した水原氏のギャンブル依存症が明るみになり、世間は大きな驚きを隠せなかった。(C)Getty Images
一大スキャンダルの行く末は、日米球界だけでなく、世間一般でも大きな関心を集めている。
ドジャース・大谷翔平の専属通訳を務めていた水原一平氏が、今月20日に違法賭博に関与した疑いでドジャースから契約解除された。米スポーツ専門局『ESPN』など複数の米メディアによれば、同氏は米連邦捜査局の調査対象となっていた違法ブックメーカーに対して少なくとも450万ドル(約6億8000万円)の負債を負い、その支払いを他でもない大谷の銀行口座から送金していたと判明し、大きな波紋を呼んでいる。
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この問題に関して不透明な点は多々ある。水原氏と違法ブックメーカーとの関係性、そして弁護士側から「大規模な窃盗にあった」と声明が出されている大谷の関与があったのかなど、真相は今後の調査の進展を待つしかない。
そうしたなかで、世界的に衝撃が広まり続けている理由は、水原氏が『ESPN』で語った物悲しい証言にあると言えよう。
22年時点で1億5000万円の負債を抱え込んでいたという水原氏は、大谷に負債の肩代わりを依頼する前から別の友人から金銭を借りていた状態にあり、文字通り窮状にあったという。その当時を彼はこう振り返っている。
「翔平には言えなかった。自分の生計を立てるのが大変で、ギリギリの生活だった。彼のライフスタイルに付いていく必要があったので、このことは伝えたくなかった」
「恥ずかしい。このことは現在に至るまで私の妻は知らない。そして、私は彼(大谷)を見るのは辛かった。翔平は素晴らしい人間で、全く何事もなかったかのように人生を歩み続けていた」
大谷とは2018年から専属契約を交わした水原氏。滞りのない流麗なトランスレートはもちろんこと、グラウンド内外で二刀流を支えた彼の行動は一介の通訳のそれを越えるものだった。実際、ふたりの間柄を長年目にしていた関係者も驚きを隠さない。米メディア『The Athletic』でエンゼルス番を務めているサム・ブラム氏は、米ポッドキャスト番組『Foul Territory』で「私から見て、(2人は)とても偽りのない関係に思えた。メディアに向けて装っているものでもない。本当に互いを尊敬しあっていた」と語っている。
周囲から見ても仕事人として際立っていた。そんな名通訳の懺悔とも取れる告白が、赤裸々だったからこそ、付きつけられた事実に、ファンをはじめとする多くの人々は虚無や怒りに似た感情を抱く。ハレーションが一気に広まったのは、もはや必然だった。
いずれにしても、水原氏の「翔平には言えなかった」という証言には哀しさばかりがこみ上げる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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