ジェッダ市街地コース内の縁石は「絶対に改修するべき」とシューマッハー。新型F1マシンへの影響を指摘
ハースF1チームのミック・シューマッハーは、ジェッダ・ストリート・サーキットで行われたF1第2戦サウジアラビアGPの予選中に起こったクラッシュの翌日、F1の新世代マシンをもっと安全に走らせるためにはコースの数カ所を改修することが「絶対に」必要だと語った。
サウジアラビアGPの予選Q2を走行中、ターン10の出口でワイドになったシューマッハーは、縁石でトラクションを失って反対のイン側コンクリートウォールに激突した。このとき、チームのセンサーは33Gという非常に高い数値を記録していた。ハースの2022年型マシン『VF-22』は大破し、彼は日曜日の決勝レース欠場を余儀なくされた。
また併催されたFIA-F2でも、フリー走行でジェム・ボリュクバシ(チャロウズ・レーシング・システム)が同じコーナーでコントロールを失ってクラッシュし、脳震盪を起こしたため、予選と決勝を欠場することになった。
新型のF1マシンは、グラウンドエフェクトの特性を活かすため、かなり路面に近づいた構造になっている。この新しい設計ではFIAの高い縁石による損傷を被りやすく、シューマッハーのクラッシュ前後にも、コースのあちこちで複数のドライバーがヒヤッとするような場面に遭遇していた。
「僕が覚えているかぎり、去年はそこまでの懸念材料はなかったと思う。その理由は、単純にマシンのつくりだ。とてもハイレーキなマシンで、通常リヤはかなり上のほうを向いていた」と、シューマッハーは説明した。
「今はマシンがかなり地面に近づく。コースの中(のより高速な箇所)では特にそうだ。だから、非常に高さのある縁石に触れた瞬間、リヤタイヤは地面を離れてしまう。つまり、そこでマシンが弾んでしまうということだ」
「ほかにも数名のドライバーが危ない瞬間に遭遇していた。僕たちがまたここへ戻ってくるとするならば、これは絶対に改修しておくべき部分だと思う」
フェラーリのカルロス・サインツは、シューマッハーのクラッシュについて、新しいF1マシンのモノコックの安全性に関するひとつの証拠になったと語った。しかしサインツは、ジェッダのコースレイアウトも変更したほうが良いと考えている。彼は、コースをはみ出したドライバーにマシンのスピードを落とすためのスペースと時間を与えるために、数カ所のコンクリートウォールを後方へ動かすことを提言した。
「あれほど大きなアクシデントを踏まえると、できればウォールをもうすこし外側へ押し出して、僕たちがコントロールを失ったときにスピードを落とすためのスペースをつくれないかと思う」
「これは議論すべき案件だ。もう限界に来ているかもしれないからね」
メルセデスのジョージ・ラッセルは、ジェッダのレイアウトを広範囲に変えてしまえば、コースから市街地サーキットとしてのDNAを奪ってしまいかねないと警鐘を鳴らした。
「明らかに、去年は視認性に欠けるという危険があった」と、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)理事でもあるラッセルは言う。
「彼らは、改善するためにベストを尽くした。それは多少の効果につながったが、それで問題がすべて解消されたわけでもない」
「けれども、これは市街地コースの本質でもあるし、当然速く走るうえでの本質とも言える。つまりハイリスク、ハイリターンなんだ」
「問題は、やり過ぎてしまえば、市街地コースのDNAを失ってしまう場合もある、ということだ。改善に向けてできる小さなこともあると思う」
「それでも最終的には、高速で走行し、コントロールを失って、しかもランオフエリアがなければ、ウォールに行きついてしまう」
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