2022年F1のレースウイーク変更点をメルセデスF1が改めて解説。注目ポイントは4つ
2022年シーズンのF1は技術面で大きな変更があったが、レースウイークのフォーマットやスポーティングレギュレーションにおいても多くの修正が加えられている。これらの変更は、ドライバーやチームの活動にどのような影響を与えるのだろうか。メルセデスF1が改めて2022年F1のレースウイーク変更点を解説している。
■圧縮されたスケジュールと作業禁止時間
2022年はコース上での走行時間は変わらないが、スケジュールが若干変更された。金曜日の2回のプラクティスはより遅い時間に、木曜日の『メディアデー』は金曜日の午前に移動した。メカニックやエンジニアにとってスケジュールは過密になり、マシンの整備やセッションの準備、走行後の分析に費やせる時間が少なくなる。
水曜日にはカーフュー(作業禁止時間)が設けられ(オーストラリアGPでは19時)、準備作業に当てられる時間が少なくなった。木曜日もサーキットでの作業開始時間と終了時間が設定されている(オーストラリアGPでは8時から19時まで)。1日で11時間は例年に比べて短く、エンジンに火を入れるのも決まった時間(ヨーロッパラウンドでは16時)にしか許されない。全体として、マシンを組み立てるための時間がより制約され、パーツを遅れて持ち込むことが難しくなる。
金曜日においても、マシンのために使える時間は少なくなった。特にFP2終了後は、マシンにカバーをかけてしまうまで3時間しかない(オーストラリアGPでは20時)。エンジニアには数時間の余裕があるが(オーストラリアGPでのカーフューは22時)、それでも利用できる時間は少ない。
土曜日も同様で、予選終了後にメカニックやエンジニアが作業できる時間が少なくなる(予選終了から2時間後にマシンにカバーが被せられる)。チームメンバーの自由時間は増えるが、サーキットでの作業はよりハードになるため、新たな挑戦であることは確かだ。
■スプリント予選再登場
2021年、F1にスプリント予選が初めて導入された。この方式では金曜日の予選で土曜日のスプリント予選の、スプリント予選で日曜日のレースのグリッドが決められる。これをテストするため、昨年は3回スプリント予選が行われた。
2022年もエミリア・ロマーニャGPとオーストリアGP、ブラジルGPの3大会で『スプリント(スプリント予選から名称変更)』が開催される。しかし、金曜日の予選のためにわずか1時間のプラクティスでマシンを仕上げなければいけないという難しさは変わっていない。マシンもタイヤも新しくなった今シーズンにおいて、状況はさらにチャレンジングだ。
しかし、2022年シーズンはスプリントにいくつか修正も施されている。ポールポジションはスプリントレースの勝者ではなく金曜日の予選で最速のドライバーに与えられるようになり、与えられるポイントも増加し、2021年は表彰台に上ったドライバーにしかポイントが与えられなかったが、今年はスプリントのトップ8がポイントを獲得でき、優勝者には8ポイント、8位のドライバーには1ポイントが与えられる。
■新しい予選Q2タイヤルール
これまでのシーズンでは、予選でトップ10に入ったドライバーはQ2で最速タイムを出したタイヤでレースをスタートしなければならなかった。2022年はこのレギュレーションが撤廃され、Q3に進出するドライバーもスタート時のタイヤを自由に選択できるようになった。
このため、ライバルがどのタイヤでスタートするかはタイヤブランケットが外されるまでわからなくなり、未知の要素が増えることになる。しかし、その分戦略のバリエーションは増える。これまでと同じレベルで戦略をたてることはできなくなるが、グリッド上の各車で多様な戦略が見られることになる。
■カー・ディスプレイ
2022年のレースウイークにおける新たな試みが『カー・ディスプレイ』だ。これは事実上、マシンの『ショー・アンド・テル(展示&説明)』だといえるだろう。金曜日の朝、チームはFIAとF1にFP1を走るマシンのスペックを見せる必要がある。予選の後にFIAに選ばれれば、再びマシンを見せて、週末にどのように進化したかを示すことになる。
メルセデスでは、2台のW13をクローズアップしてじっくり見てもらうことで、チームにとっても、ファンやTV局にマシンの変化をオープンで透明性のある形で見せられる素晴らしい機会になると考えているようだ。
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