【トロロッソ・ホンダ/ガスリー密着コラム】若さに似合わぬフィードバック能力が、チームの不調脱却に役立つか
2018年、ホンダF1はトロロッソと組んで新しいスタートを切った。新プロジェクトの成功のカギを握る期待の新人ピエール・ガスリーのグランプリウイークエンドに密着し、ガスリーとトロロッソ・ホンダの戦いの舞台裏を伝える。
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前戦バーレーンGPで4位入賞を果たしたピエール・ガスリーは、その直後に「これだと当分、ヒゲは剃らない方がいいかもね」と、ゲン担ぎの発言をしていた。ところが中国にやって来た彼の顔は、すっかりさっぱりツルツルになっていたのである。しばらく剃らないんじゃなかったの?と前回登場したフランス人ジャーナリスト、フレッドに訊いても、「さあ?」と首をひねるばかり。「まあ、いわゆるひとつのフランス的いい加減さというところかな」。
一躍注目ドライバーとなったガスリーは、木曜日のFIA会見にも出席。多くの質問を浴びた。その中のひとつに、「『僕たちは闘える』とフィニッシュ直後に言ったのは、メルボルンでのフェルナンド・アロンソの発言を意識したもの?」というのがあった。
アロンソが開幕戦で5位に入賞した際、「We can race!」と無線で叫んだ。去年までのマクラーレン・ホンダとは違うんだ、という意味を含んでいたことは言うまでもない。そこでバーレーンですかさずそれ以上の結果をたたき出したガスリーが、アロンソをおちょくってあんなことを言ったのではないかという、ちょっと意地悪な質問だった。
ガスリーは、「あれは単なるジョークだよ」と、最初は少し困った表情を見せながらも、「これまで3年間苦しんできたホンダへの、エールのつもりもあった。わずか2戦目で4位になるなんて、実際凄いことじゃないか」とコメント。スペイン人ファンたちから厳しいメッセージをたくさんもらったことも明らかにしつつ、「フェルナンドのことはすごく尊敬してるし、揶揄するつもりなんて全然なかった」と、無難に締めたのだった。
しかし翌金曜日以降は、1週間前とは様変わりのマシン挙動に手こずり続けることになる。予選はメルボルンに続いてQ1敗退。天候が回復し、暖かくなった決勝日もペースはまったく伸びないまま、15位チェッカーが精いっぱい。さらにブレンドン・ハートレーとの同士打ちの責任を問われ、10秒ペナルティで18位完走に終わった。
譲ってもらうつもりがぶつかってしまい、その上自分がペナルティを受けたことに、レース後のガスリーは明らかに納得が行ってない風だった。しかし今最も優先すべきは、中国で遅かったのはなぜか、その原因を究明することである。それを主に担うのはもちろんエンジニアたちだが、「F1経験の少なさ、あの若さを思えば、驚くほど的確な指摘をしてくる」と、担当エンジニアはガスリーの技術フィードバック能力に全幅の信頼を置いている。
中国の週末は残念だったし、今後も厳しい戦いが続くことだろう。しかしコクピットを降りてからのガスリーの貢献にも、大いに期待できそうである。
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