【J1リーグ2023】初連勝のFC東京、新潟戦の勝因とMOMは誰に!?
2023明治安田生命J1リーグ第10節の各試合が、4月29日に開催された。今節の結果により、湘南ベルマーレに1-0で勝利したヴィッセル神戸が勝ち点22で首位をキープ。2位にはセレッソ大阪を1-0で制したサンフレッチェ広島が浮上(勝ち点20)。3位には、今節は横浜F・マリノスと1-1で引き分けた名古屋グランパスが追走する(勝ち点19)。
ここでは、J1第10節でアルビレックス新潟相手に2‐1で勝利し、今季リーグ戦初連勝となったFC東京(勝ち点15、現6位)に注目。試合ハイライトと勝利の要因を解析していきたい。
F東京VS新潟:試合ハイライト
J1第10節、FC東京VSアルビレックス新潟の試合は、F東京のホーム「味の素スタジアム」で行われた。
先制点は前半8分のF東京。自陣ゴール前でボールを奪取したMF小泉慶がFW仲川輝人へ。仲川のポストプレーからMF渡邊凌磨がボールを前向きで運ぶ。前線では左からDFバングーナガンデ佳史扶とFWディエゴ・オリヴェイラ、仲川の3人がボールを受ける体勢をランニングしながらとる。渡邊がチョイスしたのは、仲川。ペナルティーエリア右から相手の股を抜きながらゴール左隅へ。一体感のあるカウンターと仲川のシュート技術が詰まった先制点となる。
一方、新潟も黙ってはいない。直後の12分「新潟のマエストロ」ことMF伊藤涼太郎が右足で魅せた。ゴール前で得たフリーキックに、壁は6枚。この壁をあざ笑うかのように右横を通過させたボールはゴール右隅へ。GKヤクブ・スウォビィクは逆をつかれ、ノーチャンスであった。
その後もボールをキープする新潟のペースで進む状況を打破したのは、F東京のストライカーの個の力である。前半34分、自陣右サイドから渡邊と仲川の縦ワンツーパスからMF安部柊斗へ、安部が右サイドを持ちあがると中で待っていたオリヴェイラへ。ゴール前でキープすると、前を向き、右足一閃。ゴール右上へ突き刺す一撃に、味の素スタジアムもどよめいた。
引き続き新潟も自分たちのスタイルを崩さず、攻撃を継続。前半36分、37分とボールを繋ぎ、前から守備をするという新潟スタイルを実行。ゴールに迫る勢いをみせる。
メンバー交代無しで始まった後半。最初のチャンスはF東京。後半12分にエリア内に侵入した仲川からバングーナガンデへ。バングーナガンデのシュートはわずかゴール左外に外れるも、直前の新潟DF舞行龍ジェームズの仲川へのスライディングがVAR判定。結果、仲川へのファールが認められPKを獲得。オリヴェイラの独特の間合いから放たれたシュートはゴール左へ外れ、追加点のチャンスを逃した。
その後、両者チャンスを作るも、試合は動かず。F東京が2-1で勝利し、今季初の連勝となった。
ポイントは攻撃時にサイドを取れたかどうか
同試合で目立ったのは、F東京と新潟の両チームによる攻撃時に上図で示した丸囲いのエリアを取る動きである。このエリアの取り合いについて同試合ではF東京が勝っていた。このエリアに元から配置されている仲川と渡邊に加え、安部、MF松木玖生、バングーナガンデがランをみせた。
このエリアを取る理由は2つ。
1つ目は相手のディフェンスラインを下げさせること。エリアを取られた相手ディフェンスは守備のためにラインを下げざるを得ない。そうなると重心が下がり、待ちの態勢で守備をすることが必要とされる。
2つ目は中のスペースが空くということ。同試合でいうとオリヴェイラのスペースが広くなって戦術がはまり、2点目のシーンが生まれたと言える。この作業を試合中で繰り返すことで、得点がうまれる可能性が高まるのだ。
新潟も前半においては、この作業で負けていなかった。特にMF三戸舜介は良い動きを繰り返していた。しかし、強度という面においてはF東京が上であったと言えよう。
MOMは渡邊凌磨
同試合のマンオブザマッチ(MOM)には、渡邊を選出する。もちろん、得点を挙げたオリヴェイラや仲川も素晴らしい活躍をしたことは間違いない。しかし、この試合をF東京が制したポイントである「サイドを取る仕事」に最も貢献したのが渡邊であった。自身のランによるサイド獲得に留まらず、パスでサイド獲得を演出。オリヴェイラによる2点目も、渡邊のパスが起点となった。
F東京の指揮官、アルベル・プッチ・オルトネダ監督からは「自由に動いていい」と指示を受けるほど信頼を獲得している渡邊。チームの要として、今後はどんな攻撃を演出するかが楽しみである。
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