【角田裕毅F1第4戦密着】走行経験の多いバルセロナ初日は「全セッションが学びの前戦とは対照的」で前向きな1日に
前戦ポルトガルGPで、予想外のグリップ不足に悩んだ角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)。しかし、アルガルベ・サーキットのグリップに悩まされたのは、角田だけではない。チームメートのピエール・ガスリーもまた、9番手からスタートしたレースで、残り2周でなんとかトップ10内に入り、10位でフィニッシュした後、落胆していた。
「正直に言って、今日はとても難しいレースだった。レースウイークを通じて苦戦し、予選でトップ10入りするのがやっとで、レースでもある程度予想していたとはいえ、望んでいたような展開にはならず、ポイントを獲得するのが精一杯だった」
具体的にどこに問題があったのかと尋ねると、ガスリーは「低速コーナーが問題だった」と言う。
そのポルトガルGPのレースで、角田は「アンダーステアに苦しんだ」と語り、「問題は同じセットアップなのに、チームメートとフィードバックが違う」とも話していた。そこで、ガスリーに「低速コーナーでどんな挙動だったのか。アンダーステアだったのか、オーバーステアだったのか、具体的に話してほしい」と尋ねると、ガスリーは「ひとつだけの問題じゃない。どちらもだ。入口がアンダーステアで、出口がオーバーステアだった」と教えてくれた。
角田が言う「チームメートとフィードバックが違う」というのは、このことだろう。
いったい、アルファタウリのマシン『AT02』はどうなっているのか。チーフレースエンジニアのジョナサン・エドルズに聞くと、興味深い回答をしてくれた。
「原因のひとつは、アルガルベ・サーキットの風にあったと思う。週末を通して、午後になると風が強くなり、しかも風向きが一定でなく、コーナーによっても毎周変わっていた。だから、ドライバーによってバランスが違う感じ方になったのだろうと考えている」
当然、こうした情報は角田の耳にも入っており、カタロニア・サーキット入りした角田も木曜日にこう振り返っていた。
「(ポルトガルGPでの)フィーリングの違いは、バルセロナで改めて確認しますが、ポルトガルは風が強くて、コーナーや周回によって吹き方も違っていました」
5月7日、スペインGP初日、フリー走行1回目開始時のカタロニア・サーキットの風速は秒速0.2m、フリー走行2回目開始時は秒速0.1m。
この日のふたりのベストタイムは、ガスリーが1分18秒593の6番手で、角田はガスリーの1000分の26秒違いの1分18秒618の7番手だった。
「このコースは走行経験が多く、よく知っているので、全セッションが学びだったポルトガルとは対照的に、自信を持ってドライブすることができました。明日に向けてはとてもポジティブな気持ちです。FP3と予選までに、自分のドライビングとマシンのセットアップにフォーカスする必要があるので、今夜エンジニアと取り組んでいきます」
スペインGP初日、カタロニア・サーキットで、角田は心地よい春風を受けながら、気持ち良く疾走していた。
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