ドゥカティによる三つ巴の激闘をマルティンが制す。M.マルケスは最終ラップで2位奪取/第5戦フランスGP
5月12日、2024年MotoGP第5戦フランスGP MotoGPクラスの決勝レースがル・マン-ブガッティ・サーキットで行われ、ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)が優勝を飾り、パーフェクトウインを納めた。
ウイークを通して約29万人もの観客が足を運び、決勝日も多くの声援に包まれたル・マンは雨予報ということもあり、朝から分厚い雲が上空を覆っていた。そのなかで午前に行われたMotoGPクラスのウォームアップ走行は、ドライコンディションで行われ、ペドロ・アコスタ(レッドブルGASGASテック3)がトップタイムで終えている。
また、セッション中にはフラッグ・トゥ・フラッグ(レース中におけるコンディションの変化にともない、異なるタイヤを装着したマシンへの乗り換えが許可されること)を想定し、マシンの乗り換え練習を実施するライダーの姿が多くあった。なかでもマルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)だけは、レインタイヤを装着したマシンで1周を走り、タイヤのスクラブをする様子も捉えられていた。
迎えた決勝は曇り空の下、ドライコンディションでスタート。2番手スタートのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)がホールショットを奪い、そのすぐ後ろにマルティンが続く。
マーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)も3番手につけていたが、ややコースオフし5番手。それにより3番手にアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46・MotoGPチーム)と続いてオープニングラップを終える。
後方では、アコスタがビニャーレスを捉えて5番手に浮上するが、その翌周に一気に2台を交わそうとした際に8コーナーでクラッシュ。MotoGPクラスにデビューして以来、初のノーポイント、リタイアで終える結果となった。それにより、マルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)がビニャーレスの後ろにつける状況となり、5番手争いが繰り広げられる。
トップではバニャイアとマルティンの2台が、3番手のエスパルガロをやや引き離す展開に。ペースが上がらないエスパルガロに、10周目にディ・ジャンアントニオ、12周目にはビニャーレスとマルク・マルケスが襲いかかる。さらに13周目にはエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ・レノボ・チーム)が少し強引にイン側に入ったことにより、ややはらんでしまう。それにより、エスパルガロは8番手まで後退となった。
翌周にはエスパルガロの件により、バスティアニーニにはロングラップペナルティが科され、9番手まで順位を下げた。さらに同一周には、4番手を走行していたビニャーレスにややミスがあり、マルク・マルケスは4番手に浮上し、じわじわとディ・ジャンアントニオの背後に迫る。
3台による3番手争いが接近戦となり、18周目にはマルク・マルケスとビニャーレスが先行。それにより、ディ・ジャンアントニオはふたつポジションを下げてしまう。さらにその後ロングラップペナルティを科され、6番手まで後退した。
そんななか、ややギャップがあったトップのバニャイアとマルティンだが、一気に距離が縮まる。クロスラインで順位を入れ替えながら、残り7周でマルティンがここでようやくトップを奪取することに成功。しかし、ふたりがバトルを展開している隙に、好ペースを披露していたマルク・マルケスが追いついていた。
トップに立ったマルティンは、少しずつペースを上げていくが、バニャイアのすぐ後ろにはマルク・マルケスが迫る。残り4周、少しでもアドバンテージを広げたいマルティンは、先頭集団のなかでは一番早い1分31秒557というペースを披露していた。
しかし、その翌周にはややミスがあり、3台の距離が一気に縮まる。バニャイアはマルティンのすぐ後ろにつけていたが、マルク・マルケスは少し離れた状態でファイナルラップへと入っていく。
ところが、バニャイアを再びロックオンしたマルク・マルケスは、9コーナーのブレーキングでバニャイアをパスして2番手に浮上。先頭のマルティンはふたりがバトルを展開する隙に逃げ切り、トップチェッカーを受けて三つ巴のドゥカティバトルを制した。
2番手には、ファイナルラップで見事なオーバーテイクを披露したマルク・マルケスが入り、2戦連続での2位表彰台を勝ち取った。先頭をキープしていたバニャイアは優勝には届かなかったが、3位獲得で2戦連続での表彰台となった。
4位にはペナルティ消化後に追い上げを見せたバスティアニーニが続き、ドゥカティが1〜4位を占める結果に。5番手にはビニャーレス、6番手にはディ・ジャンアントニオ、7番手にはフランコ・モルビデリ(プリマ・プラマック・レーシング)が続いた。8番手には最後尾スタートのブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が入り、怒涛の追い上げを見せた。
今大会がホームGPとなるヨハン・ザルコ(ホンダ・カストロールLCR)は、日本メーカー最上位となる12位でフィニッシュ。14番手にはチームメイトの中上貴晶(ホンダ・イデミツLCR)が続き、2台揃ってポイントを獲得。ホンダ勢のルカ・マリーニ(レプソル・ホンダ・チーム)は完走を果たすも、16位とポイント獲得にはあと一歩届かなかった。ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)は転倒リタイアで終える結果に。
また、ザルコと同じく母国GPとなったファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)は、決勝でホームGP仕様のグラフィックを纏ったヤマハYZR-M1で挑んだが、17周目に転倒を喫して惜しくもリタイアとなった。チームメイトのアレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)は15位でポイントを獲得している。
雨の心配もあったル・マンだが、フラッグ・トゥ・フラッグの展開とはならず、終始ドライコンディションでのレースとなった。次戦の第6戦カタルーニャGPは5月24〜26日にスペインのバルセロナ・カタロニア・サーキットで開催される。
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