鈴鹿でクラッシュに巻き込まれた松浦孝亮、織戸学に状況を聞く「どうしようもなかった」
6月4日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されたスーパーGT第3戦鈴鹿の決勝レースは、59周目に日立Astemoシケインの入口で発生した大きなクラッシュにより、赤旗が提示されレースはそのまま終了となった。松田次生がドライブしていたMOTUL AUTECH Z、松浦孝亮がドライブしていたBamboo Airways Lamborghini GT3が非常に大きなダメージを受け、松田は病院に搬送されたものの、大きな怪我はないと伝えられている。クラッシュの状況について松浦、そして2台の間を走っていたapr GR86 GTの織戸学に聞いた。
序盤から大きなアクシデントがないまま進んでいたスーパーGT第3戦鈴鹿の決勝レースは、思わぬ幕切れとなった。
GT500クラスが59周目に入っていたところで、それまで表彰台圏内を争うレースを展開していた松田のMOTUL AUTECH Zが、130R立ち上がりでGT300クラスの9番手を争い並走していた松浦のBamboo Airways Lamborghini GT3、織戸のapr GR86 GTと接触。Bamboo Airways Lamborghini GT3はアウト側にはじき出されるかたちとなりクラッシュ、さらにMOTUL AUTECH Zもスピン状態となり、後ろ向きとなったことから下面に空気が入り宙を舞ってしまった。MOTUL AUTECH Zはタイヤバリアに接触した後、キャッチフェンスにクラッシュし、バラバラの状態で着地した。
幸い、大きな破壊に見舞われたものの、逆に衝撃を車体全体で受け止め、さらに非常に強固なGT500のモノコックが松田の身体を守り、松田は意識がある状態で病院に搬送された。精密検査を受けた結果大きな外傷もないとのことで、多くの心配の声が聞こえる中でまずはひと安心といったところだ。また、Bamboo Airways Lamborghini GT3の松浦もあばら骨あたりの痛みはあるものの、大きな外傷なくピットに戻っている。
2022年第2戦でも発生したような大きなクラッシュがスーパーGTで発生してしまったが、このアクシデントはどのように起きたのだろうか。松浦に聞くと、「まず、その前にMARELLI IMPUL Zが僕を抜いていったのですが、その後織戸選手と並走していました。そこで松田選手が当たってきた形になりますが、僕からしたらどうしようもなかったです」という。
「松田選手のクルマは飛んでいってしまっていましたが、最悪のシナリオを考えるなら、もし飛ばずに、僕のクルマとクラッシュパッドの間に挟まってしまったら、もっと状況は悪かったと思います」
当然ながら、松浦からは松田が見えていない状況だった。「次は右コーナーのシケインなので僕も左に行く必要はないですし、そのまま(織戸と)並走するだけでした。今までもこういったクラッシュが起きているコーナーですからね。タイヤカスも出ていたと思いますし、あちら側(アウト側)に意識が向くのも仕方ないと思いますが」
「残念ながらクルマ(Bamboo Airways Lamborghini GT3)は全損ですけどね……。身体は痛いですが、比べてはいけませんけど、僕はインディカーのクラッシュを何度も経験しているので、そのどのクラッシュよりも痛くはないです」
一方、イン側からMOTUL AUTECH Zにヒットされるかたちとなったapr GR86 GTの織戸だが、幸い大きなダメージもなく、そのまま赤旗提示とともにストレートに車両を止めレースを終えることになった。
「松浦選手を追っていて、抜けそうだと思っていたんですが、松浦選手を平峰選手(MARELLI IMPUL Z)が抜いていったので、失速したタイミングを狙って130R立ち上がりでインに入りました。松浦選手は当然こちらを牽制しますよね。その時点で、GT500がもう1台来るのは分かっていたのですが、行ってくれるだろうな……と思っていたらぶつかって」と織戸は状況を語った。
「僕はもう真ん中でどうしようもなかった。僕のクルマの左前と松田選手のクルマの右後ろと当たって、僕の右前が松浦選手とぶつかった。松田選手のクルマがかなり飛んでいったので驚きました。ぜんぜん(MOTUL AUTECH Zの)左側は空いていたのですが。気持ちは良くないですね」
結果的に、暫定結果のなかには松田に対し「Sp.R.13-1.a『危険なドライブ行為』」として、ドライブスルーペナルティが課されている(ただし未消化のため競技結果に40秒加算)。イン側のグリーンにわずかにタイヤを落としていたMOTUL AUTECH Zが2台の争いにヒットしてしまうかたちとなったのが実際の状況のようだ。
いずれにしろ、GT500の車両の安全性が証明され、松田と松浦に大きな怪我がなかったことが何よりも幸運だった。ただ、あの事故現場は3月のスーパー耐久第1戦でも大きなアクシデントが起きており、今後なんらかの対策も必要になるかもしれない。
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