「今年は本当の意味で拮抗して戦っている」メルセデスを追い込み、選手権首位を維持/ホンダF1山本MDインタビュー
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGPでは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが首位を走行中に左リヤタイヤのバーストに見舞われリタイアとなった。一方2番手につけていたセルジオ・ペレスがこれで首位に浮上し、赤旗中断後も最後までその座を譲らず、レッドブル移籍後初優勝となるキャリア2勝目を飾った。ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターは、今回の勝利について、レッドブル・ホンダがメルセデスを追い込むことができて「非常に刺激的でいい終わり方だった」と高く評価した。
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──前戦モナコGPに続いて第6戦アゼルバイジャンGPも連勝し、ホンダとしては1992年以来29年ぶりの2連勝となったわけですが、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はリタイア、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がノーポイントに終わったことで、痛み分けとなりました。タイトル争いを戦ううえで、今回のフェルスタッペンのリタイアとハミルトンのノーポイントは、どちらのほうがよりダメージが大きいと捉えていますか?
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):僕はエンジニアではないのでレースを総じて見た感想を言います。今年は田辺(豊治/ホンダF1テクニカルディレクター)含めエンジニアみんなが現場で頑張ってくれているので、本当の意味でメルセデスとレッドブルが拮抗していると思います。
僕がもしドライバーだとしたら、マックスがリタイアしたので、ルイスが25ポイントを獲りにいくのは想像できます。まさに彼はそれにチャレンジしたのだと思います。そこまで追い込んでいるレッドブル・ホンダが今年、本当の意味で拮抗して戦っているなということを、ルイスが1コーナーをまっすぐ行ったときに感じました。なぜかというとマックスがここでリタイアしてノーポイントなので、ルイスにとってみればチャレンジして25ポイント獲ったら、マックスを(選手権で)逆転するだけでなく、さらに離せるじゃないですか。コンストラクターもまたメルセデスが1位に戻る。最悪、チャレンジが失敗したとしても現状維持(2位)ですから。
結果的に(セルジオ・)ペレス選手が優勝して25ポイントがコンストラクターに入ったので、メルセデスをそこまで追い込んでるいるという意味で、非常に刺激的でいい終わり方だったと思っています。
──角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)選手が、開幕戦以来の入賞を果たしました。今週末の角田選手のパフォーマンスをどういうふうに評価していますか。また、このポイント獲得は今後に向けて、どのような影響を与えると思いますか?
山本MD:角田選手については、バーレーンはFIA-F2で走っていたということと、テストでも3日間走っていますから、そう言った意味では彼が非常に3日間のレースウィークを通じていい仕事をしたと思いますし、その結果が9位で初レース初ポイントゲット。イモラも彼自身ある意味、走り慣れている。自信もあって攻めすぎたために、Q1でクラッシュしてしまい、そこから流れが作れなくなりました。
今回のアゼルバジャンは、レッドブルとアルファタウリのトップから色々なアドバイスをもらって、金曜と土曜日のFP3までは順調にペースを上げていくことができたと思いますが、Q3の2回目のアタックでクラッシュしてしまいました。しかし、そこはそこ。今シーズン初めてQ3に進出して、大きく学んだことも事実です。
「まだまだ学ぶことがたくさんある」と言っていたように、ちょうどいい先生になるF1ドライバーである(ピエール・)ガスリー選手が隣にいるので、厳しい意見になるかもしれませんがまだまだF1で学ぶことが彼にはあるのだと思います。今日のガスリー選手は本当にクルマをうまくゴールまで持っていって3位表彰台を獲っています(編注:パワーユニットに小さな問題を抱えつつ、エンジニアと無線で交信しながら、ダメージを最小限にしてレースを戦っていた)。
本人は「最後の2ラップのスプリントレースでペースをうまく上げられなかった」と悔しがっていましたが、やはりレースウィーク3日間通してうまくまとめていくには、まずクルマと自分の体が一体になることが大切。グランプリ週末の3日間をどう過ごせば、チームにも、そして自分自身としても納得いくレースができるのかということを、早く自分で会得してほしいと思います。
──アゼルバイジャンGP期間中にシンガポールGPの中止が発表されました。今年タイトル争いをしているホンダさんにとって、今後22戦になってもいいのか、23戦で戦いたいという気持ちなのか、どちらでしょう?
山本MD:個人的な意見で言うと、22戦になろうが23戦のままであろうがレースは参加者にとって同一条件なので、私個人としては気にしていません。メルセデスとは拮抗したレースが続いてるので1戦1戦しっかり、技術面で田辺が中心になってきっちり戦っていければ、自ずと結果もいい方向に向いていくのではないかと思うので、正直、開催数は気にしていません。
──シンガポールGP中止後の新しいスケジュールの発表はまだないのですが、日本GPが開催される目処が立ったら、たとえばオーストリアで2週続けてレースをやるように、鈴鹿で2戦やるというのは絶対にありえないことなのでしょうか。
山本MD:個人的にはうれしいけど、日本の新型コロナウイルスのワクチンの問題だとか、コロナ禍の状況を見ると、フライアウェイの日本で2戦やるのは非常にハードルが高いと思うし、難しいと思います。みなさんそのまま留まらなければいけないし、現在のコロナの状況を考えると無理だと思います。
オリンピックがうまく開催されて、なおかつお客さんを少しでも入れて鈴鹿を開催してくれれば本当にハッピーだし、お客さんを入れてやりたい。最悪お客さんが無理でも、僕らはホンダ最終年で地元のホームコースを走っている力強い姿をテレビを通じてみなさんに見せたいです。でも、2回は無理じゃないですか? 日本でコロナのワクチンってまだ10%ぐらいですよね。だからそんな状況でとてもじゃないけど、そういう話になりそうもない。あくまで個人的な感想ですけど、2回なんてとてもじゃないけど無理だと思います。
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