【動画】恐るべき水の力/首位にアクシデント発生×2/ブリーンに捧げる初優勝etc. WRCイタリア振り返り
6月1日から4日にかけて、イタリアのサルディニア島で開催されたWRC世界ラリー選手権『ラリー・イタリア・サルディニア』の主要トピックスを振り返る動画が、シリーズの公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@wrc)で公開されている。
毎戦恒例の“Top5 Moments”。WRCが投稿するこの動画は、その名のとおり各ラウンドで起きたさまざまな出来事の中からとくに印象的な5つの瞬間を紹介するものだ。
不安定な天候のもと開催された今回の第6戦イタリア編で最初に登場するのは、日本人ラリードライバー勝田範彦(トヨタGRヤリス・ラリー1)のスプラッシュシーンだ。総合5番手で競技3日目のSS8を迎えた勝田だったが、同ステージ終盤にあったウォータースプラッシュポイントを通過した際に、水圧によってマシンフロント部が損傷。外装だけでなく補機類にもダメージが及び、修復が難しいことからデイリタイアを喫することとなった。
ラリー後、勝田は当該スプラッシュゾーンへの進入について、速度は他のドライバーとあまり変わらなかったが「アクセルを開けるタイミングが遅れてしまった」と説明した。ラリーカーが水深のある川や水たまりを渡る際はフロントに掛かる水圧を逃がすためにマシンの頭を起こす必要があるが、そのタイミングがわずかに遅れたために大きなダメージを負うことになってしまった。
続いてはデイ2に設定された今大会最長49.9kmのSS4でのアクシデント。ダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)のコースオフシーンだ。左コーナーでワイドに膨らみコースを外れてしまったブリーンのクルマは、そのまま小さな崖を落下しフロントから着地すると、でんぐり返しの要領でぐるりと回り下面を上にして止まった。
ソルドにとって幸いだったのは落差が大きくなかったことと、周囲に“妖精さん”たちが多数いたことだ。おかげでこの窮地を脱したソルドは、そのまま競技を続行することができた。なお、直後のサービスでは自らメカニックたちに混ざりマシンの修復作業を行っていた。
■最終ステージでの手痛いミス。ライバルに優勝を譲ることに
3つめはWRC2クラスで生じたドラマ。競技最終日の最後のステージでそれは起きた。クラストップでデイ4を迎え、ライバルたちを抑えて最終パワーステージに入っていたアドリアン・フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2)がまさかのクラッシュを喫してしまう。前述のソルドとは異なりこちらは足回りにダメージを追ってしまい万事休す。優勝を目前にしながら、クラス2番手につけていたアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)に優勝を譲ることとなった。
目を疑うシーンは最高峰クラスでも。このラリーでエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)と首位を争い、3日目午後のSS14の段階でトップに立っていた“8冠王者”セバスチャン・オジエがまさかのコースオフ。勝利を収めれば大会最多5勝目を飾るところだったが無念のリタイアを喫した。
オジエはこの日の終わりに「ブレーキペダルを踏んだ際に足が滑ってしまった」とコメントしている。同ステージに入る直前、彼のクルマはスプラッシュによってダメージを受けており、その修復のためにオジエは足場の悪いなかで整備を行っていた。
動画の最後を締めるのはティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)の優勝シーンだ。オジエが戦列を離れたSS14でトップに立ったヌービルは残る5つのステージを堅実な走りで走破し、ヒョンデに2023年シーズン初勝利をもたらした。同チームのエースであるベルギー人は自身にとっても2022年最終戦ラリージャパン以来の優勝を、今年4月に事故死したチームメイト、クレイグ・ブリーンに捧げた。
■Top 5 Moments | WRC Rally Italia Sardegna 2023
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