スーパーフォーミュラ・ライツの木曜午前走行に5名のトップドライバーが参加。それぞれに意図あり
6月19〜20日に、宮城県のスポーツランドSUGOで開催される全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第4大会。その専有走行が6月17日(木)14時からスタートしたが、それに先立ち、1時間30分の有料走行が行われた。第4大会に参戦する全車両が出走したが、そのうち6台に、参戦ドライバーとは異なる、全日本F3/スーパーフォーミュラ・ライツ経験があるドライバーが5名乗り込んだ。それぞれに目的があるが、非常に興味深い顔ぶれが揃った。
今回のスーパーフォーミュラ・ライツ第4大会には、12台がエントリーしている。今シーズン初参戦となるルッカ・アレン(Albirex-RT)を含め、その12台が10時から行われた有料走行に参加した。14時からの専有走行1回目からは第4大会の公式セッションだが、この有料走行は誰がドライブしても構わない。
そんな1時間30分の走行に、第4大会参戦ドライバー以外のドライバーが乗り込んだのは6台。まず、TOM’Sは2020年のチャンピオンである宮田莉朋が、まずはふだん平良響がドライブしている37号車に乗り込み、次いでジュリアーノ・アレジの36号車に乗り込んだ。
そしてポイントリーダーの名取鉄平のマシンであるB-MAX RACING TEAMの50号車には、ふだんは総監督として名取を支えている高星明誠が乗り込んだ、また、3台を走らせるB-MAX ENGINEERINGは、今田信宏の4号車に佐々木大樹が、DRAGONの30号車に関口雄飛が、畑享志の51号車に松下信治が乗り込んでいる。ちなみにこの3人は、前大会のオートポリスでも有料走行でドライブしていた。
この走行では、まだコンディションはあまり良くなかったが、関口が1分13秒288でトップタイムをマーク。宮田、松下、レギュラー参戦の佐藤蓮(TODA FIGHTEX)、佐々木と続いた。
■車両確認のための宮田のドライブ
すでに6月14日に日本レースプロモーションが放映したYoutube Liveのなかでも宮田は今回のスーパーフォーミュラ・ライツのドライブを公言していたが、山田淳監督によれば「個体差があるかないか、クルマの確認で乗ってもらいました」と宮田のドライブの理由を語った。
本来であれば野中誠太の1号車も宮田にドライブして欲しかったというが、今回は時間が足りず。それでも「今回乗ってもらったことはスーパーフォーミュラ・ライツのチームにはすごく役には立ちますね。宮田選手のためにもなると思います。本人も『スーパーフォーミュラにも繋がると思います』と語っていましたから。SFへのウォームアップにもちょうど良いのではないでしょうか」と山田監督は週末のスーパーフォーミュラにも好影響があるのではと語る。
一方ドライブした宮田によれば、36号車と37号車では、スタイルや好みで違う部分を感じたという。走行後、アレジと平良と言葉を交わす様子もみられた。
「SUGOはコースも変わっていますし、ある程度の体慣らしにはなると思います」と週末はスーパーフォーミュラをドライブする宮田は語った。ただ、直接スーパーフォーミュラに役立てるためには「レースウイークもずっとライツを乗り続けなければいけないと思います」という。
「同じ日にSF、SFLと乗っておかないと、コンディションの変化や目の慣れという意味では役立たないのではないでしょうか。木曜にSFLに乗っておいたところで結果に繋がるかと言われると、そうではないと思います」と宮田。
「もちろん人それぞれだとは思いますが、昨年僕が岡山でSFとSFLにダブルエントリーしたときもそれが活きて予選で好タイムが出せたと思いますし、ジュリアーノも前回そうでしたが、特に雨のときはダブルエントリーがうまく活きると思います」
■SFも乗るプロがドライブすることでさまざまなメリットが
一方B-MAX ENGINEERINGの3台は、スーパーフォーミュラをドライブする関口と松下のふたりはSFに向けた体と目の慣らし、さらにレースでドライブするジェントルマンドライバーへのセットアップの確認とさまざまな意味合いをもつというのは、自らドライバーDRAGONとして参戦する組田龍司総代表。
「プロが乗ることで、クルマに対して疑念をもたず、思い切って走ることができます」と組田総代表。佐々木はアドバイザーでもあり、その週末を前にドライブすることができれば、よりアドバイスにも深みが出る。
またB-MAX RACING TEAMの高星については、「本来は名取選手が速く走ることが目的なので、前回も名取選手が有料走行で乗りましたが、今回は高星選手がSFに出るということで、“塩を送る”という意味でもドライブしてもらいました」という。
ちなみに高星は金曜までは総監督を務め、土日はSFに専念してもらうつもりだとのこと。ただ高星が自らSFLを経験することで、金曜までは名取に対してもさらに有効な助言ができるはずだと組田総代表は語る。
「この有料走行はいろいろな使い方があると思いますが、今回TOM’Sさんも宮田選手がドライブしていますよね。そのデータも比較できますし、いろんな良いことがあると思います。このセッションを有効活用できると良いと思います。ドライバーごとの乗り方の違いなど、エンジニアにも勉強になると思います」
ドライブした高星も「50号車はB-MAXのエースカーですし、チャンピオンがかかっているクルマで壊してはいけないと気をつけながら走りましたが、そのなかでもひさびさにフォーミュラに乗って、感覚をつかめたと思います」と今回のドライブ自体が役に立った様子だ。
スーパーフォーミュラとスーパーフォーミュラ・ライツはシートに互換性があったり、コーナリングスピードなどの面で、直接繋がるカテゴリーになっている。今後の大会でも専有走行前の有料走行が行われることになりそうで、今回のように有力ドライバーが乗るシーンが今後も見られるかもしれない。
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