レッドブル・ホンダ密着:メルセデスよりも安定した速さで独走。オーストリアでの2度目の勝利に見えた成長と逞しさ
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPにおけるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)対ルイス・ハミルトン(メルセデス)の戦いは、スタート直後の1コーナーまでだったかもしれない。
スタートをミスなく発進したフェルスタッペンが、1コーナーに向かってハミルトンのラインをつぶすようにイン側に寄り、そのまま1コーナーを制し、続く3コーナーをトップで通過した後、フェルスタッペンはハミルトンに影を踏ませることなく、独走していったからだ。
それはピットストップを終え、ハードタイヤでの第2スティントに入ってからも変わらなかった。その様子を3コーナーで見ていたが、逃げるフェルスタッペンがジェントルにアクセルを踏んで立ち上がっていくのに対して、ハミルトンは時折リヤを振りながら、かなり攻めた走りをしていた。それでも、両者の差は縮まるどころか広がっていく。明らかに、この日のレッドブル・ホンダは、メルセデスよりも安定して速かった。
今回の優勝は、レッドブル・ホンダにとって10回目の勝利となったが、この10勝目が最も力強さを感じた勝利だった。
「日曜日の決勝で自分たちにどれだけ競争力があるのか、ライバルとどのくらいの差なのかということは事前にわからない。特に今週末は僕たちとメルセデスのロングランペースがとても僅差だったから、こんなに差が開くとは予想していなかった。だから、いまは特別な気分だ」
また今回の勝利はレッドブル・ホンダにとって、同じサーキットで刻む2度目の勝利となった。前回の勝利は、2019年のオーストリアGPだ。その勝利とは、ホンダにとってF1復帰後、初優勝となったあのレースだ。2年前、多くのスタッフが涙したが、今年ホンダのスタッフに涙はなかった。そこに、この2年間のホンダの成長とたくましさを感じた。
「この2年間でホンダのPUは大きく進化しました。信頼性と出力。これはICEとERSのどちらもです。また、それらの使い方という面でも向上してきました。さまざまなトライをしてパフォーマンスを向上してきました。そして、それに合わせてレースでのマネージメント、現場メンバー、SAKURA、ミルトンキーンズのメンバー、すべての質の向上が今日の結果に繋がっていると思います」(田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクター)
前戦フランスGPに続いて、2戦連続のポール・トゥ・ウインを達成したホンダ。これはホンダにとって1991年の日本GP・オーストラリアGP以来、30年ぶり。4連勝も同じく1991年のアイルトン・セナの開幕4連勝(アメリカ・ブラジル・ サンマリノ・モナコ)以来、30年ぶり。2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)とメルセデスに対して、両チャンピオンシップでリードを広げたホンダ。彼らが次に涙を見せるとすれば、それは30年ぶりのタイトル獲得の瞬間だろう。
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