「ひとりだけでも走ってくれたことがパフォーマンスに直結」週末を通して安定感を見せた角田/ホンダ本橋CEインタビュー
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPではレッドブル・ホンダが4連勝を遂げた一方で、アルファタウリ・ホンダには厳しい週末となってしまった。まず初日にピエール・ガスリーのMGU-Kにデータ異常が出て、午後のFP2を1周もできず。それでも角田裕毅がデータ収集に専念したこともあって、予選ではガスリーが6番グリッドを獲得。角田もQ3に進出し、8番手タイムを記録した。しかしアタック中のバルテリ・ボッタス(メルセデス)の走路妨害をしたと判断され、3グリッド降格ペナルティを科されてしまう。
レースではスタート直後の接触事故で、ガスリーが早々にリタイア。1台だけとなった角田はタイヤのタレに苦しみながらも、10位完走を果たした。
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──レースは残念な結果になってしまいました。
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):そうですね。今週末は初日からペースがあっただけに、本当に残念でした。
──ガスリーはスタートでちょっと出遅れました。それも接触事故の伏線ですか。
本橋CE:スタート後の位置取りという意味では、そうだったかもしれませんね。
──たらればの質問で恐縮ですが、もしあの事故が起きていなければ、おそらくランド・ノリス(マクラーレン)やシャルル・ルクレール(フェラーリ)と、ガチンコ勝負を繰り広げていたのでしょうね。
本橋CE:そうだったと思います。最終的には悪くてもグリッドポジションキープ、ひとつかふたつ順位を上げてチェッカーを受けていたと思いたいですね。ただ他のチームもけっこうしっかり走っていますから、あくまでうちのチームもきちんとレース運営できていればという、そこもたらればになってしまいますが。純粋なパフォーマンス的には、その辺りは狙えたと思っています。
──中団グループでは現在マクラーレンが頭ひとつ抜けているわけですが、相対的な戦闘力はどんな風に見てますか。
本橋CE:お互いの良い時で比べると、戦えるところにいると思っています。ただ向こうの方が実際に結果を残しているし、一発の速さを含めてマクラーレンの方が前にいるのかなという印象です。
──選手権の順位では、すぐ前にフェラーリがいます。彼らはコースによって、出入りの激しいレースを続けています。追いつけそうですか?
本橋CE:そうですねえ。出入りが激しいとはいえ、徐々にポイントを獲れるようなクルマ作りやレース運営ができている。選手権的には、正直厳しいかもしれません。ただいくつかのコースでは、前を走りたいなと思っています。
■ガスリー車のトラブルは「今まで経験したことないデータ異常だった」
──初日に出たガスリーのデータ異常ですが、FP2を走ることは難しかったのですか?
本橋CE:はい。年間使用基数が厳しく決まっているなかで、リスクを冒してまで走らせることはないです。今シーズンまだ長いですし、後半にペナルティを科されるような事態は避けたかった。そこはチームと相談して、走行を見合わせてしっかり調べようということになりました。
──データ異常自体は、FP1のセッション中に出たのですか?
本橋CE:はい、出ていました。その原因特定や対策が、FP2に向けて間に合わなかった。今まで経験したことないデータ異常だったので、大事を取ることにしました。
──パワーユニットを全交換しようとか、そういう選択肢もなかった?
本橋CE:なかったですね。しっかり原因を特定しようと。もちろん我々も走りたかったですが、見えないところも多かったので大事を取りました。
──それもあって角田はFP2をひとりで、そしてレースも開始早々からひとりで走ることになったわけですが、今週末の戦いぶりはどう見ていますか。
本橋CE:FP2ではチームに役立つ、土曜日以降に繋がるデータをしっかり取ってくれました。ひとりだけでも走ってくれたことが、週末のパフォーマンス披露に直結したと思いますね。
本人のパフォーマンスも、予選からわりとよかったです。レースではDRSトレインのなかにはまって、タイヤマネージメント的にもけっこう厳しい状況でした。それでもしっかり走ってくれたし、チームからのタイヤについての指示も的確に対応していましたね。それがあって、グリッドより上の順位で完走してくれたのかなと。週末全体を見渡しても、安定して走ってくれた。レースはそういう厳しいなかでも、バトルもしていましたし。たくさんのことを学んだと本人も言っていました。新たな経験が積めたと思います。
今週末は同じサーキットでの2戦目ですから、違うドライビングスタイルを見せてくれるのではないかなと期待しています。
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