MotoGP:ヤマハのビニャーレスが取り戻した速さと表彰台。「序盤の走りの改善に取り組んできた」
混戦となったMotoGP第8戦オランダGPの決勝レース、マーべリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ・MotoGP)が3位に入り久々の表彰台を獲得した。第3戦アメリカズGP以来の表彰台獲得。ビニャーレスは、序盤の走りの改善に焦点を当てていたと言う。
第3戦アメリカズGPで2位を獲得したビニャーレスだが、前戦カタルーニャGPまでの2018年シーズンは好調とは言い難いように見えた。少なくとも、今季4度の3位表彰台を獲得しているチームメイト、バレンティーノ・ロッシの後塵を拝していたのは確かだ。
得意とするオランダGPで、ビニャーレスは初日総合トップに立った。予選では6番手とやや奮わなかったが、「燃料が重い状態での走りに重点を置いていた。これが明日(決勝レース)はきっと役に立つだろう」と語っていた。フルタンクで走るレース序盤の走りについて、改善する作業を進めていたということだろう。
迎えた決勝レースの序盤では混戦にあったトップ集団のなかでも後方を走っていたビニャーレスだが、そこからじりじりと順位を上げていく。トップ集団のなかで何度もオーバーテイクが繰り返されるなか、ビニャーレスは6周目にはファステストラップを記録し、取り組んできたことが正しかったことを証明した。
「序盤の走りを改善すべく取り組んできたんだ。そして実際、力強い走りができた。特に、レース中盤でね」
ビニャーレスは終盤には2番手に浮上すると、トップのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)に勝負を仕掛ける。9コーナー前で並びかけ、体と体を接触させながら加速するビニャーレス。しかしそれは失敗に終わり、オーバーラン。ポジションを落としながらも上位陣に食らいつき、残り2周では、前を行くロッシとアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)がラインを外す間に再び順位を回復させた。
「今日はトップを奪ってプッシュしていくつもりだったんだ。だから、9コーナーでマルクを先に行かせたくなかった。ブレーキングを遅くしすぎて、グラベルにかなり近づいてしまったよ。けれど、強い走りでうまく順位を取り戻すことができた」
「僕が勝つにはベストなポジションではなかった。スタートで少し後方だったからね。でも、この戦略がうまくいくことがわかったから、次のレースでも今週末のように考えていく必要がある。レースの終盤はもっと速く走れると思っていたんだけど、少し腕上がりの症状があってスピードをコントロールできなかったんだ」
ラストラップにはアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)に交わされわずか0.039秒差で3位となったビニャーレス。「オランダは得意なコースだからそれも少しは助けになった。でもほかのコースでも同じように走れるように努めていかないとね」と語った。
一方、チームメイトのロッシは終盤まで上位争いに食い込み5位フィニッシュ。終盤に2番手を争っていたドヴィツィオーゾとの争いのなか、残り2周の1コーナーでコースアウトし、順位を下げたのが表彰台を逃す決定打となった。
「エキサイティングなレースだったけれど、表彰台を獲得できると思っていたから悲しいよ」と悔しい胸の内を明かす。
「ドヴィツィオーゾが1コーナーで僕を抜こうとした。でも、彼が仕掛けたのが少しばかり遅かったんだ。僕はコースアウトしなければならなかった。タイムを大きくロスしたよ。特に僕はね。ドヴィも僕も表彰台に上がれるポテンシャルがあったと思うけれど、僕たちは(ドヴィツィオーゾが)4位と(ロッシが)5位に終わってしまった」
ビニャーレスは久々の表彰台を獲得し、ロッシも5位に終わったものの、その戦いぶりから見て今大会のヤマハ・ファクトリーのふたりに速さはあった。約1年もの間優勝から遠ざかっているモビスター・ヤマハ・MotoGPが、表彰台の頂点を取り戻す日が待たれる。
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