レッドブル・ホンダ分析:コミュニケーションの不便さを補う対策も万全。田辺TD「目指すところは優勝」と自信
いよいよ、7月3日からF1がオーストリアのレッドブルリンクで再開される。しかし、新型コロナウイルス感染症がいまだ収束しないなかで開幕する2020年のF1は、これまでとは異なる形で再スタートを切る。
まず、ほかの多くのスポーツイベントと同じように、F1も当面は無観客でレースが行われる。6月30日に、レッドブルが準備したチャーター機でレッドブルのスタッフたちとサーキットを訪れた田辺豊治F1テクニカルディレクターの目には、いつもと違う光景が映っていた。
「セッションが始まっていないので、まだ無観客ということは意識することはなかったんですが、パドックは寂しいですね」
それはヨーロッパラウンドなら、当然あるはずのモーターホームがないからだ。モーターホームの代わりに設置されたコンテナハウスはドライバーとチーム代表のプライベートスペース。エンジニアたちの居場所は、ガレージかトランスポーター上に設置しているエンジニアリングオフィスのなかとなっているため、パドックを行き来するスタッフはまばらだ。
さらに異なるチーム同士の接触を避けるため、普段ならときどき見かけるパドックで立ち話するスタッフの姿もない。レッドブルとアルファタウリにパワーユニットを供給しているホンダのスタッフも、担当するスタッフはそれぞれチーム別に異なるルートで現地入り。サーキット内でも同じパソコンを覗き込むことはなく、フェイス・トゥ・フェイスでミーティングすることもない。
ただし、異なるチームを担当するスタッフ同士のコミュニケーションは、これまでとは異なる手段でとっている。
「WEBを利用した会議や電話でコミュニケーションを図っています。若干の不便はありますが、それを補うべくやり方を考えてきているので、対応できています」(田辺TD)
じつは多くのメディアも開幕からしばらくは、現地での取材活動は許可されず、リモートでの取材活動を余儀なくされている。ホンダも日本のメディアにWEBを利用した会議で取材に協力。そこには日本のファンを大切にしたいという日本企業としての思いやりが込められているように感じた。
そのWEB会議でわれわれ日本のメディアに田辺TDは、新たな開幕戦へ向けて、こう抱負を述べた。
「先の見えないなかで準備してきました。さまざまな期待が寄せられていますが、われわれとしては漏れなく、ミスなく、持てる力を最大限に発揮して戦いに臨みたい。目指すところは当然、優勝。走ってみれば、見えてくると思います」
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