「不必要に悪役に」加藤未唯へのブズコワの怒りに母国メディアが正当性を強調「模範的な行動が評価されてきた」
世間を騒然とさせた加藤の失格騒動。いまだ波紋を広げる同問題に当事者でもあるブズコワが怒りを露わにした。(C)Getty Images
世間への怒りの主張が話題を集めている。
現地7月5日、チェコ人のプロテニスプレーヤーであるマリー・ブズコワは今夏に行なわれた全仏オープンにおける加藤未唯(ザイマックス)の“失格騒動”に対して苛立ちを露わにした。
【動画】波紋を広げた加藤の失格騒動。 ブズコワが嘆いた物議を醸したボール直撃の瞬間をチェック
現地6月4日に行なわれた全仏オープンの女子ダブルス3回戦で、ブズコワはサラ・ソリベストルモ(スペイン)とペアを組み、加藤とアルディラ・スーチャディ(インドネシア)組と対戦する。発端は一進一退の攻防が続いていた刹那の出来事だった。
第2セットの5ゲーム中に、加藤が何気なく相手コートに返した打球がボールガールの頭部を直撃。あまりに突然の出来事と痛みから少女は号泣してしまったのだ。
事態を収めるべく主審はいったん加藤に警告を言い渡した。これにブズコワとソリベストルモが反発。「血が出ている」「わざとやったんじゃないの?」などと執拗に抗議されたために、大会のスーパーバイザーが介入。最終的に裁定は「失格」となって試合は中止に。加藤には大会賞金とツアーポイントをはく奪される厳罰が下った。
一連の騒動を受け、世界は最終的な判断を下した全仏側、そして執拗な抗議を繰り返した対戦ペアに猛烈なバッシングを浴びせた。そのなかで誹謗中傷を受けたブズコワは、このほど母国メディア『iDNES』で「彼女はすべてを引き起こし、私たちを敵に回した。彼女は私たちを悪者にした」と指摘。大会後も海外メディアで騒動への言及を続けた加藤を糾弾した。
いまだおびただしい数の批判を受け続けているというブズコワ。そんな24歳の心情を母国メディアは慮っている。
インターネットのニュースサイト『iDNES』は「ブズコワは驚きを隠せなかった。今でも、このスキャンダルについて彼女が語るとき、らしい微笑みが顔から消える。世間が出来事についてゆがんだ認識を持っていることを心配している」と指摘。さらに日刊紙『Ceske Noviny』は「ローランギャロス(全仏オープンの愛称)の直後に批判の嵐に晒されたブズコワはインターネットから離れることを余儀なくされた」と指摘し、こう記している。
「彼女は批判の嵐が降り注いだ経験を『酷いもので、二度と味わいたくない』と語っている。彼女たちは全仏オープンでの騒動で審判にクレームを入れたことでネガティブな印象がつき、不必要にヒール役になることを世間から強いられた。コート内でのフェアプレーとコート外での模範的な行動が評価されてきた彼女だけに、悪役になることには不満がある」
今回の騒動について「複雑な感情を振り払うのに2週間はかかった」と打ち明けてもいるブズコワ。ライバルの訴えに加藤は何を思うだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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