【パドックの実情】F1メカニックは自宅に2カ月不在でも“理想の夫”
2019年12月1日の最終戦アブダビGPが行なわれてからじつに7カ月。新型コロナウイルスにより、近年稀にみる長期のF1ロックダウンが解除され、ついにオーストリア・レッドブルリンクで開幕戦を迎えた。
その開幕直前に発売されたオートスポーツ本誌では、F1チームでチーフメカニックを務める“ある人物”に話を聞き、彼らの仕事の実情を紹介している。今回はその一部を抜粋して、F1メカニックの世界をお伝えしよう。
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7月3日、支給されたチームウェアを身にまとい、マシンの下部に潜ってアンダーパネルを組み付ける姿。また、ある場面ではブレーキトラブルに見舞われたマシンのブレーキフルードを補充している姿がそこにはあった。
普段何気なくモニター越しに見ていたその光景がついに帰ってきたと実感する。果たして、ピット内でマシンに命を吹き込む懸命なメカニックの姿を目の当たりにしたのはいつぶりだったか。
では、グランプリシーンのメカニックにおける役割とは一体どれほど貴重な存在でどのようなスケジュールで動いているのだろうか。
メカニックがいなければクルマは組み上がらないし、走らない。つまり、レースそのものが成立しない。
そんな要職とも言える彼らF1チームのメカニックたちは、これから2カ月のあいだ、帰宅することは許されず家族とは無縁でマシンの整備、ガレージの設営やパッキングといったタフな『毎日』が待ち構えている。
今年は中止となってしまったものの日本GPなどに代表される遠征イベントの場合だと日曜夜には現地へ飛び立つので、いわゆる『レースウイーク』は7日以上を数えることになる。
月曜朝には最初のメンバーが到着し、機材を受け取って現場に搬入、火曜からピットの設営。メカニックとしての仕事が本格化するのが水曜からで、マシンの組み立てがメイン。
木曜は、おもに車体重量と各部のサイズ計測を行う車両検査の日であるため、メカニックは息つく間もなく2昼夜の高速作業を強いられる。
そのまま普段我々が意味する『レースウイーク』が始まり、車両の整備や調整、クラッシュなどがあった場合は過酷な修復作業が待ち構える。そうした劣悪な労働環境のなかで、彼らは黙々と働いている。
F1で仕事をしたければ、何はさておきF1が好きでなければならない。しかも生半可な“好き”ではとても務まらない。実際にたまたまここで仕事をしている、というような者はひとりとして存在しない。
それだけ「厳しくも魅力のある仕事」と言い換えることもできる。もちろん、チームに加入したからといってすぐにレース現場に立てるほどこの世界は甘くはない。
その前にファクトリー勤務を経験しておく必要があり、レースチームに加わることは一種の昇格、つまり選ばれた者だけの特権でもある。
一見すると、非常に過酷かつ特別的なF1メカニックの世界。休みやサラリーは望むべくもなく、家族とも長いあいだ別居を強いられる難儀な職種である。
だが、日本の古いことわざの「亭主元気で留守がいい」という言葉を考えると、もしかしたらF1メカニックは世の中の妻にとっては理想の夫と明言してもいいのではないだろうか。
はたから見れば家庭の時間を犠牲にしているように見えるかもしれないが、彼らがこの仕事と向き合い続けている理由には時間や金などではない、そこにいる者にしか分からない「何か」が存在しているからだ。
理屈抜きに「レースで勝つこと」を目標掲げ、一点の曇りなく『好きなこと』を徹底的に極めた彼らは、今日もまたレンチを握り締め、ドライバーのため、チームのためにマシンを仕上げつづける。
先週から続く過酷な3連戦をドライバーとチームのために戦う屈強な男たちの働きぶりにも注目して見ると、観戦の楽しみもまた増えるだろう。
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