【津川哲夫の私的F1メカ】レッドブルRB14の最新型バッドマン・ディフューザーとフロアエアロ
現在のF1マシンのディフューザーは左右のバックエンド・エッジが水平に処理されていて、3D曲面は左右のエッジ処理で使われるのがほとんど。しかし、英国に本拠地を構えるレッドブルから始まったディフューザー・キャンペーンでは、このバックエンド部には大きく緩いカーブの処理がなされている。
その部分は写真の矢印(5)に当たる、いわゆるバットマン・ディフューザーの復活だ。写真はレッドブルのフロア部を、前方から撮影したもの。規則上、極端なデザインはできないのだが、それにしてもバッドマン・ディフューザーの見た目は極めて格好良い。
そのレッドブルRB14のディフューザーを含めたフロアの最新開発型がドイツGPに持ち込まれ、その全容が垣間見えた。特にフロアサイドエッジの処理がこれまでから変更され、レーキ・エアロの渦流制御への取り組みは佳境に入ったようだ。
ステップフロアのリーディングエッジのスピリッター(写真矢印1)も数が増し、下端のねじれを使ってボーテックス・ジェネレーターの役割を担っている。さらに前後に別れた縦置きの長く大きなダブルスリット(写真矢印2&3)、リヤタイヤ前のスリット(4)の形状と大きさも変更されるなど、細かな開発が進められているのがわかる。
レッドブルを始めとして、フェラーリが追随したレーキ・フロアエアロ。車体を前傾させて車体全体をウイングのような役割にすることで大来なダウンフォースが得られるものの、レーキ(前傾)角が着けば着くほどドラッグも増えていく。したがって、いかに高角度レーキを使いながらドラッグを減らすかがエアロ効率向上の要になるわけだ。
フロアフロントのエアロは、いかにフロア下面に高速で空気を送れるか、フロントタイヤでの乱流をフロアに干渉させないか、そしてレーキ・フロアの測面からの干渉をどれだけ低減できるかが重要になる。
スリットの設定、スピリッターの設定ひとつで、マシンのパフォーマンスは大きく変わるのだ。
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