決勝は“完全ドライか本降りの雨”を希望? 三者三様、ブリヂストン勢の予選タラ・レバ/第4戦GT300
8月5日に公式予選を終えたスーパーGT第4戦富士。GT300クラスではグッドスマイル 初音ミク AMGがポールポジションを獲得したが、決勝が行われる6日には降雨の可能性を含む不安定な天候が予想されている。
ここ最近のGT300タイヤ勢力図からすると、「しっかりとした雨になったら、ブリヂストンが強い」というのがパドックの関係者の共通認識でもあるが、ここでは3台のブリヂストン勢に、予選日の動向を聞いた。
彼らは必ずしも思い描いていた形で予選を終えることはできず、三者三様に残念な結果にはなったのだが、決勝レースに向けては一定の自信を見せているのが興味深いところだ。
■「もう少し先輩の走りを真似していれば」
ランキング2位(首位リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rと同ポイント)のmuta Racing GR86 GTは、サクセスウエイト(SW)90kgというヘビー級の重量で富士戦を迎えた。
予選Q1は平良響が担当したが、混戦となったB組でカットラインにコンマ2秒ほど届かず。聞けば、アタックでは失敗もあったという。
「(朝の)ロングランの感触も良かったので、このまま予選も行ければ、というところだったのですが……僕のミスも多々ありまして。ミスなくいければ通れたかもしれないと思うと、僕本人のドラビングの面で悔しさが残る予選でしたね」と平良。
GRスープラコーナーとパナソニックコーナーでミスがあり「データで見ると、もう少し堤(優威)先輩の走り方を真似すればいけたのに、という感じ」だったという。
Q1落ちの要因が比較的はっきりしているということは、『SWのわりにはポテンシャルが高い』とも言えそうだ。
「もう少し悪いかなと思ったのですが、朝イチ乗ってみたら結構良かったので、そこに関してはホッとしたというか、『あ、まだ大丈夫だな』という感じで。ロングのペースは周りと比べても速いので、そこは自信はあるのですが、明日は雨が降るかもしれないし、降らないかもしれないというので……どうなるのか、という感じです。荒れたレースになると思うので、荒れた展開をチャンスにできるかもしれないですね」
■「重さだけではなさそうな感じ」
続いてもヘビー級、84kgのSWを背負う埼玉トヨペットGB GR Supra GTで予選Q1・A組を11番手で終えた川合孝汰に話を聞く。
「とんでもなくヘビーです。ただ、重さだけではなさそうな感じがしています」と川合はウエイト以外の要素を示唆する。
「過去のレースでもそこそこウエイト積んだ真夏の富士はあるのですが、それと比較してもちょっときつくて。今回、僕らはちょっと違ったトライじゃないですけど、クルマが重いことと、気温もかなり高くなっていることに合わせて、タイヤも使ったことがないものを持ってきたりしてみたのですが、競合する2号車も一緒に落ちてしまったりしたので、ちょっと(コンディションに)合わなかったのかな、という感じはしています」
ただこちらもmuta Racing GR86 GT同様、決勝ペースには自信を持っているようだ。
「ヨコハマ勢は真夏のレースはいつも強い、というイメージがありますが、朝のFPの途中からユーズドタイヤのフィーリングを確認したところ、そのあたりは僕らの方がマージンがあるかもな、とは感じました」
レインコンディションも予想される決勝に向けては、川合はやはり雨量を気にしている。
「僕らはやはり“ちゃんとした雨”が良くて、ダンプコンディションなどはヨコハマさんが強いので……予報を見ると、雨量自体はそこまで無さそうですが、長い時間降る感じのようです。僕らとしては降るか、降らないか、どちらかにしてほしいですね」
■「ちょっと硬めのタイヤを持ち込んだ」
最後に、予選Q2で3番手タイムを記録したapr LC500h GT(SW:9kg)の小高一斗に話を聞く(取材は正式結果発表前に実施)。
「前回の富士は少し柔らかめのタイヤを選んでレースでは少し崩れてしまいました。そこ今回はちょっと硬めのタイヤを選んで持ち込みました」とタイヤ選択における第2戦との違いについて、小高は説明する。
「今回はレースに焦点を当ててタイヤもクルマも考えていたので、こんなに前からスタートできるとは思っていませんでした。明日、もしドライだったら、結構勝てるレースになるんじゃないかと思うんですけど、ちょっと不安定な予報なので(苦笑)……どうなるか分からない、というのが不安なところです」
今年導入されたLC500hは“低ドラッグ・高ダウンフォース”の高効率空力マシンゆえ、富士ではセクター1、2で速さを発揮しているが、セクター3は「タイヤに頼って走らなければいけない部分もあり」(小高)、硬めのコンパウンドと相まって予選上位2台には届かなかった。
取材時、決勝については「かなり期待してもらってもいいと思います。チームとしてもミスがないようにできれば、自ずと結果がついてくるのではないかと思います」と語っていた小高。
しかし予選後の再車検において、燃料成分に違反があることが発覚してしまう。前戦鈴鹿で余った燃料を誤って使用してしまったことが原因だったが、これにより19時55分に発表された正式リザルトでは予選タイムが削除に。陣営にとっては、これこそが最大の“タラ・レバ”になってしまった。
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