どん底からF1ウイナーへの道を切り開いたオコン「いつか必ず努力は報われると信じていた」
波乱づくめのレースとなったF1第11戦ハンガリーGPは、エステバン・オコン(アルピーヌ)の勝利で幕を閉じた。海外メディア各社のインタビューを受けたオコンは、自身のキャリアを振り返るとともに、F1フル参戦4シーズン目で手にした初優勝の喜びを語った。
ハンガリーGP決勝レースの1周目で発生した多重クラッシュにより、8番手グリッドから赤旗再開後には2番手に浮上したオコン。その後、前を走るルイス・ハミルトン(メルセデス)のピットインによりトップに立つと、そのまま後続のマシンを抑えきり、トップでチェッカーを受けた。
チームとしてはロータスF1の名前で参戦していた2013年のキミ・ライコネン以来の、アルピーヌへと名称変更してからは初めての勝利となった。そしてもちろん、オコンにとってもF1初優勝だ。
オコンはイギリスの放送局スカイ・スポーツに対し、「僕のキャリアにとって非常に大きな瞬間だった」とその初優勝を振り返る。しかし、彼のF1でのキャリアは決して順風満帆というわけではなかった。
2015年にGP3(現在のFIA-F3)のチャンピオンを手にしたオコンは、2016年シーズン途中にマノーからF1デビューを果たすと、翌年からはフル参戦を開始。順調に完走とポイント獲得を積み重ね、将来を期待されるドライバーのひとりとなった。
しかし2018年、所属していたフォース・インディアがカナダの大富豪ローレンス・ストロール氏に買収されたことで、彼の状況は一変する。翌年、レーシングポイントと名前を変えたチームのラインナップにオコンの名前はなく、代わりにローレンス氏の息子、ランス・ストロールがそのシートを手にした。結局オコンはレース出場機会を得られないまま、メルセデスのリザーブ兼テストドライバーとして2019年シーズンを終えることになった。
オコンはドイツの放送局RTLに対して、当時を「脚光を浴びることなく、誰にも見られることなく、暗闇の中で仕事をしていた」と振り返る。しかしキャリア最悪の時期にあっても、彼はあくまでレースドライバー復帰を目指し、チャンスを模索していた。
「2019年は最低の状態だった。でも、いつか必ず努力は報われると信じていた」
「マシンに乗れる機会があればすぐに飛んでいった。たとえレースをしていなくても僕は常に全力で走ったよ」
そして彼の努力は実を結んだ。2020年にルノーに移籍する形でグランプリ復帰を果たすと、第16戦サクヒールGPで初の2位表彰台を獲得。そして今季のハンガリーGPでついに初優勝を遂げた。F1でのシートと優勝。念願だった2つのものを手に入れたオコンはRTLにこう語る。
「ゴールしたとき、F1での困難な時期を含め、チャンスを与えられるのを辛抱強く待っていたすべての瞬間を思い出した。ついにその時が来たよ」
「2021年、僕はF1ウィナーであり、チームとは3年間の契約を手にしている。これ以上の幸せはないよ。いま僕は世界一幸福な人間だ」
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