野尻智紀「レース後に和解したと思っています」田中洋克監督「ローソンとはしっかりと話し込んでいきたい」【SF第7戦決勝会見】
8月20日にモビリティリゾートもてぎで開催された2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦。決勝後の会見で今季2勝目を飾った野尻智紀(TEAM MUGEN)、2位の平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、3位の大湯都史樹(TGM Grand Prix)、そしてTEAM MUGENの田中洋克監督がレースを振り返った。
■野尻智紀(TEAM MUGEN)
決勝 優勝
「優勝でき本当に嬉しいです。チームとファンのみなさんの応援に心から感謝したいと思います」
「レースに関してはスタート直後の1〜2コーナーでリアム・ローソン選手とサイド・バイ・サイドだった、というところがみなさんも知りたいところだと思うのですけど、僕としてはギリギリ……すぎるくらいのところでとどめられたかなという感触でした。その後はああいうクラッシュもあり、というところで、そこはジャッジ(審判員)が判断すればいいと思うのですけど、僕としてはギリギリだったなと」
「リアム側からしたら『もう少しスペースを残してもいいじゃないか』と思うところもあっただろうし、ドライバーは必ずそう言うと思います。僕はこのレースでギリギリのファイトをするつもりだったので、そこでは引かなかったというか。そういった姿勢を見せることが次の鈴鹿に繋がると考えています」
「あと、レースが終わった後に彼(ローソン)とはしっかりと話はして、和解はしたと思っています。『次にまたいい戦いをしましょう』という話はできたので、僕とリアムの関係は特にそれ以上はなにもないかなとは思います」
「リスタート後はすごくいいペースで走れましたし、後続も引き離すことができました。ここ最近は苦労していた部分もあったのですけど、チームの頑張りに何とか応えられたかなと思うので、非常にいい一日になったかと思います」
「(今日の好調さは朝のフリー走行からだったのかと問われ)朝の走り出しのセットアップはまずまずの手応えがあったのですけど、そこから変えたものがあまり良くなくて。逆にそれがヒントになって、朝の持ち込みからもさらに違う、逆の方向性にしたという感じです。そんなに大きな変化はないのですけど、よくやるスプリングとロールバーの組み合わせみたいなところでやったという感じですね」
「(レース前は降雨も予報されていたが、そこからセットアップは変えずに臨めると考えていたのかと問われ)そうですね、僕らとしては『そうなってくれた方が助かる』という感じでした。暑くなりすぎるとそこまで対応できるマシンではないというところもあったので、気温も路面温度も下がってきたことは、非常に追い風になったとは思います」
「(宮田、ローソンとの得点差も縮まった中、最終戦へ向けてはどのような準備をするのかと問われ)またコンディションも異なる鈴鹿での戦いになるので、なにができるか、なにをするべきなのかという判断もすごく難しいとは思いますけど、今週やってきてレースペースも改善の兆しはあるかなという感じはしたので、改めて今週の出来事を精査するところから始めて、どこに向かって進むべきか、その辺をディスカッションしながらというか……いつもどおり詰めの作業を怠らずに最終戦を迎えたいと思っています」
「(前戦を終えてタイトル争いが危うくなりそうな状態から、大量得点で10点差まで縮めたことについて問われ)正直、ジャーナリストさんや記者の方からすると『(前戦富士を終えた時点で野尻が)窮地』みたいな……そういう状況を作られていたかという気がするのですけど、それを見て『見てろよ』と思ったのは僕の中ではあります」
「最終戦は役者が多い方が盛り上がるとも思いますし、10点差という状況まで持ってこれたことへの嬉しさもありますね。しっかりと3連覇狙って頑張りたいなというところです」
■田中洋克監督(TEAM MUGEN)
「まず、レーススタート直後にアクシデントがあり、牧野任祐選手のことがとても心配です。その原因(ローソンのスピン)を作ってしまったということもあり、申し訳ない気持ちと、心配の気持ちがあり、素直に(優勝を)喜んでいいのかという思いもあります」
「ただ、野尻選手がスピードを取り戻し優勝してくれたことは素直に、非常に嬉しいです。相反してローソン選手はクラッシュし、チームとしてはあってはならない展開でした。今後振り返って、最終戦でこういったことがないようにしたいと考えています」
「野尻選手は第4戦オートポリスを欠場し、そのあともなかなかクルマのネガティブな部分がどうしても解消できず、野尻選手も自分が思うようなドライブができなかったのですけど、今回のもてぎに来る前にそのネガティブだった要素がだいたいわかり、それを改善してきた結果、予選からスピードを取り戻せたことにつながったと思います」
「また、決勝もタイヤもケアしながらある程度いいペースで走れました。クルマとして本来求めていたとおりの動きをしてくれたので、次の鈴鹿でもいいレースができるのではないかと思います」
「(最終戦でローソンと野尻がタイトルを争うことについて問われ)野尻選手には3連覇してほしいという気持ちもありますし、同時にローソン選手は若いドライバーでF1を目指しています。やはりF1へのチャンスは作ってあげたいという気持ちは当然あります」
「ポイント差も縮まりましたし(第7戦終了時点で2点差)、どちらかを優先するとかはできません。本当にレーシングで、フェアな戦いでタイトルを勝ち獲ってもらえたらと思います」
「(野尻とローソンが同士討ちという可能性も起こりうる中、何かしらの“決め事”はするのかと問われ)今日はスタートのところまでは決めていませんでした。ただ『ぶつかるなよ』というところは話はしていました。でもなかなか……。ローソン選手はこれまで冷静にレースを戦っていたので、『そこまで言わなくても彼ならわかっているだろう』と」
「レース前も宮田莉朋選手をターゲットにとは作戦の中でも決めていました。なので、そこで無理をする必要もなく……。でも本人があの状況で行きたかったという気持ちはドライバーなので当然かもしれません。ですが、最終戦へ向けてもう一度しっかりと話し込んでいきたいと思います」
■平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
決勝 2位
「感想としては、最初に大きなアクシデントがありましたが、そこで誰も大きな怪我はないということが一番です。自分は目の前で、ミラー越しに見ていたので、そこは心配でした。まずはほっとしています」
「レースの結果としては、やはり嬉しいというか、優勝できるポテンシャルはあったのでやはり……。たらればを言ってもなにもないのですけど、タイヤ交換を失敗したり、(山本尚貴と)接触があったりしてかなりタイムロスしたので、それがなければぜんぜんトップの野尻選手にチャレンジできたので、それができなかったのはすごく残念だったのですけど、クルマはとても速かったですし、7番手から2位ということで表彰台に上がれたことはすごく良かったと思います。次に繋がるレースにもなったと感じています」
■大湯都史樹(TGM Grand Prix)
決勝 3位
「怪我での欠場もありましたし、このレースに挑むまでにいろいろと思うところもありました。なんとか走り切ることができましたし、僕自身も今の最大限を尽くせたレースができたと思うので、この3位という結果には満足しています。チームも今できる最大限の仕事をしてくれたと思うので、すごく嬉しいです」
「(チーム移籍後初の表彰台、欠場からの復帰戦での表彰台獲得でどういう心境になったかと問われ)めちゃくちゃほっとしてますよ……。応援してくれている人たちからも『落ち着け』と言われたり、毎戦自分との葛藤もありながらでした。シーズン当初もそうですし、今もですけど『走れる』という状況でもなかったですし、そういう中でプレッシャーもありました。そのなかでの3位ですからね」
「次の鈴鹿での2レースに向けては課題も見えてきましたし、今日は流れをつかんだレースになったと思います。次の鈴鹿に向けてもしっかりと準備して臨めば優勝も見えてくるんじゃないかと、今はポジティブな気分です」
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