スーパーフォーミュラ:石浦宏明が明かすもてぎ戦の勝因。タイヤ壊したスピンが「いい方向に」
8月18〜19日に行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦ツインリンクもてぎ。2017年チャンピオンの石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)は、レースをポール・トゥ・ウィンで飾り、2018年シーズン初優勝を遂げた。
その石浦は土曜日午前のフリー走行、最終コーナーでスピン。幸いにもマシンにダメージはなかったが、左フロントタイヤにはフラットスポットができ、貴重なミディアム1セットを失う。残りの時間はソフトでの走行を余儀なくされた。
しかし予選ではQ1を難なく突破すると、Q3で1分31秒591のレコードを樹立してポールポジション(PP)獲得。翌日の決勝では、「スタート時にOTS(オーバーテイクシステム)を押すタイミングでこっちが少しだけ早かった」ことから、OTSの作動時間20秒がわずかに後ろへとずれた松下信治に、オープニングラップの5コーナーで先行を許す。
それでも松下が先にピットへと向かい前が開けると、安定した速さでピット後も首位を譲ることなくトップチェッカーを受けた。
今回の勝因について、石浦と村田卓司エンジニアは「フリー走行でのスピンが、いい方向に働いたかもしれない」と異口同音に振り返る。
ミディアムタイヤを試す貴重な機会は失われたが、そのぶんソフトでのセッティングを詰められた。それが予選で野尻智紀を100分の5秒上回ることにつながりPPを得た。今年のソフトは昨年よりグリップするが、劣化も早い。
昨年のもてぎにおけるソフトの最大周回数は39周であり、当然今年はその周回数を下回る見込みだったが、石浦は搭載燃料的に限界となる40周を走破している。
完勝に見えた裏側では、「14〜15周目くらいから発生していた」というギヤトラブルにより、34周目のバックストレートでシフトアップできず、最高速が50km/h落ちていたという。
そのさなか、ソフト、ソフト、ミディアムという2ストップ作戦で驚異的なラップを刻み、平川亮が追い上げてきてもいた。だが、ギヤトラブルはレース後半に改善され、最終スティントは平川よりも1周後にミディアムを履けたことで、ソフトタイヤでの平川の脅威は消えた。
やや運に助けられた部分もあったが、王者・石浦の“強さ”がなければ、この結果はなかっただろう。
必勝ラウンドで石浦はフルマークの11点を獲得し、トップと3ポイント差のランキング3位に浮上した。残り2戦、岡山は石浦が、鈴鹿はセルモが得意としており、2連覇はいよいよ射程圏内に入った。
それでも「勝たなきゃいけないところで勝てたのはホッとしたけど、松下に抜かれたことは、あとでお仕置きだね」と村田エンジニア。そう語る表情は楽しげで、石浦に寄せる絶大な信頼が垣間見えた。
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