立川祐路のスーパーGT引退の報にチームメイトの石浦宏明「残りシーズンに良い結果を」と意気込み

　7月28日、TOYOTA GAZOO RacingとTGR TEAM ZENT CERUMOは、三度のGT500チャンピオンである立川祐路のスーパーGTからの引退を発表した。2015年から8年半に渡ってチームメイトとして戦っている石浦宏明は、立川のキャリアの中でも最も長くコンビを組んだドライバーだが、立川からどんな話を受けたのか、そして今シーズンの残りの5戦に向けた意気込みを聞いた。

　石浦は2014年までLEXUS TEAM SARDで戦い、2015年に移籍。そこから8年半に渡って立川とコンビを組んでいる。今のGT500の中でもMOTUL AUTECH Zの松田次生／ロニー・クインタレッリに次ぐ長いコンビであり、GT500でもお馴染みのふたりでもある。

　そんな石浦だが、7月28日に発表された立川のスーパーGT引退について聞くと、7月15〜16日に富士スピードウェイで行われたスーパーフォーミュラ第6戦の際に立川から呼び出され、決断を告げられたという。ただ、真面目に引退を告げられただけではないのはこのコンビらしいところか。

「富士で話があるということで呼ばれまして、何かと思ったらその話だったのですが、さすが立川さんと言いますか、『こういうわけで自分で決めたんだけど、石浦も一緒にどう？』と（笑）。『ちょっと待ってください、自分はもう少し走りたいんですが……』と言ったら『一緒がいいな〜』と（笑）。おもしろおかしく言ってくれるところも、さすがだなと」

　もちろん、立川と石浦とのキャリアの差は桁違い。「1999年からトヨタでGT500を戦っている方なんですよね。普通のドライバーではできないことですし、僕がカートを始めたのがその頃なんです。僕もレースファンだったので、その頃からレースを観にいっていたくらいですから」と石浦。そんな相方に“引退”を持ちかけるのは立川らしい。

■立川は「一緒にいても話が尽きない」チームメイト

　そんな石浦にとって、立川は「スーパーフォーミュラでも監督とドライバーとして、二度のチャンピオンをとらせてもらった」関係であるとともに、スーパーGTでも優勝など数多くの思い出がある。それとともに「チームメイトとして一緒にいる時間はすごく長いですが、これだけ一緒にいても話が尽きない方です。過ごしている時間がすごく楽しい人ですし、そういう人でなければこれだけ長くコンビを組めないと思います」という相手だという。

「立川さんは、どれだけ若いドライバーに対してでもフラットに接する方なんです。失礼かもしれませんが、友だち感覚で話をさせていただける。チームとしてもやりやすいし、チームメイトとしてもありがたいな、と思います」

　そんなチームメイトの引退は寂しくなるのではないか……!?　と話を振ると、「そうですね」と石浦は同意しながら、「おそらくファンの皆さんがいちばん寂しく感じるのではないでしょうか」という。

「スーパーGTはキャラクターが濃いベテランがたくさんいて、それに対して若手がたくさん出てきて、その間の勝負がすごくおもしろいところだと思うんです。あとはベテランドライバーの方がやはりファンの数が多いですよね。その中でも立川さんは飛び抜けてファンの数が多いので、寂しいと感じる方も多いと思います。そこは自分では太刀打ちできないところです」

　しかし石浦は「まだ僕も知らないことですが、おそらくこれからも立川さんはサーキットには来てくれると思います。走っていようがいまいが、日本のレース界を盛り上げるためにきっといろんなことをやってくれると思います」と立川が引退後もスーパーGT、そして日本のレース界に貢献してくれるのではないかと期待を寄せた。

　今回の発表にともない、立川祐路／石浦宏明という名コンビも、今シーズン限りということが決まった。残すは第4戦含め、5レースしかない。

「もちろん、そう遠くない未来に（引退を）決断されるだろうと思っていたので、今までも一戦一戦、無駄にしないように、しっかり自分が貢献できるようにやってきました。でも、こうして発表されて、残りのレースがカウントダウンされていくことになります。自分としてもなんとかもっと良い結果を出したいと思いますし、チーム全員がそう思っているので、その力を結果に繋げられるようにしたいと思います」と石浦は今シーズンの残り5戦に向けて語った。

「気持ち良く終わってもらえるよう、みんなで力を合わせて頑張りたいと思います」