インディ最終戦詳報:パジェノーが勝利もポイント及ばず、ニューガーデンが新王者に
ソノマで開催されたインディカー・シリーズ最終戦。17日に行われた決勝レースは、チャンピオンを争うシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が勝利するも、ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が2位を獲得。ニューガーデンが2017年のシリーズチャンピオンに輝いた。
最終戦を前にして、チーム・ペンスキーはプライベートテストをソノマ・レースウェイで行った。ワトキンス・グレンでのシリーズ第16戦を終えてすぐ、北米大陸を横断し、1日の走行を行ったのだった。
昨年創立50年を迎えた名門チームは、今年も4人のドライバーをフルシーズンエントリー。その4人すべてが最終戦をシリーズチャンピオンになる可能性を残して迎えることになった。
彼らはチームメイト同士でタイトル争いを行うことを予め想定し、最終戦に万全の体制で臨むべくテストを敢行した。ライバルたちを突き放し、チームメイト4人だけによるチャンピオン争いを行うために。
そして、2017年の最終戦は、まさしく彼ら思惑通りのレース・ウイークエンドになった。プラクティスから完全にイニシアチブを握ったペンスキー軍団は、予選でトップ4を独占し、85ラップの長いレースでもライバル勢にトップを脅かされることはとうとうなかった。
チームメイトバトルを制したのはパジェノーだった。昨年ソノマでポールポジションから優勝し、念願の初タイトルを獲得した彼は、今年も同じパターンでタイトルを連覇するつもりだった。
しかし、PPは若いニューガーデンに奪われ、彼の予選順位はウィル・パワーにも負けての3番手。決勝レースではスタート直後にエリオ・カストロネベスに先行を許した。
その状況からでもパジェノーが優勝したのは、彼が出場22台のうちで唯一4ストップ作戦を選び、1回多いピットストップでも勝つためのハイペースを保ち続けたからだった。
ハードコンパウンドのブラックタイヤでスタートし、第2スティントからはレッドタイヤを連投。一気にライバル勢との間に差を築き上げ、そのアドバンテージを保ったまま1回多い4回目のピットストップを行なった。85周のレースが64周目を迎えた時点でのことだ。
ピットアウトしたパジェノーは、ターン2でニューガーデンに追いつかれたが、巧みなライン採りで封じ込め、タイヤが温まると逆に突き放した。そして、最後までトップを守り通した。
レース序盤にして順位を下げたパジェノー。彼のピットが状況に応じて作戦を切り替えたのかと見えていたのだが、実はスタート前から彼らは4ストップで戦う作戦を心に決めていたという。担当エンジニアが検討を重ね、4ストップに大きな勝機があると発見。パジェノーはスタートからゴールまでプッシュし続ける決意を持ってレースに臨んだ。
完璧な勝利を飾ったパジェノー。しかし、彼のタイトル防衛はならなかった。ポイントリーダーとしてソノマ入りしたニューガーデンが、優勝こそ逃したもののPPから2位でフィニッシュ。
26歳にしてキャリア初のシリーズタイトル獲得を成し遂げた。チーム・ペンスキー入りした最初の年にタイトルに手を届かせるとは驚きだ。パワーは苦節6年、パジェノーも2年かかった。それも、パワー、パジェノー、そしてエリオ・カストロネベスという強力な先輩チームメイトたちと戦ったうえでのチャンピオンだ。
ランキング4番手だったパジェノーは、思惑通りに優勝はしたが、最終的にニューガーデンには13点及ばず、ランキング2位となった。
3位はパワー。彼は結局ポイントランキングがチーム内で最下位の5位。カストロネベスはソノマでの5位フィニッシュでランキングは4位となった。
「タイトル防衛が目標だった。2位は悔しい。勝つために頑張っているんだから当然だ。今日は最高の戦いができた。その点は自分でも満足だが、タイトルを守ることはできなかった」とパジェノーはコメント。
ニューガーデンは、「今年まさかチャンピオンになれるとは思わなかった。ペンスキーは凄いチーム。チームワークも最高で、この1年でとても多くを学ぶことができた。インディカーシリーズは最高。今、このシリーズは伸びている。そういうインディカーでチャンピオンになれたなんて信じられないぐらいだ」と語った。
佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は20位。序盤のタイヤトラブルでトップグループから最後尾まで落ち、修理を終えてコースに戻るとすでに周回遅れになった。スタート直後にチームメイトのアレクサンダー・ロッシに幅寄せされてコースオフしたことでタイヤの空気が抜けてしまったのだ。
「最後のレースはいい走りをして完走したかった」と琢磨。
「シーズン終盤は予選でスピードを見せることができたけれど、なぜかレースではトラブルが多く出てしまっていました」と琢磨は悔しそうだった。
「それでも、今シーズンを振り返れば、とても良いシーズンだったと思います。インディ500で優勝でき、シーズン終盤には高速オーバルでもショートオーバルでも、ロードコースでもスピードを見せることができていたと思います。それを誇りに思います」と琢磨はコメントした。
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